事業開発などのコンサルティングサービス事業や技術導入支援、そしてAIソリューションの提供を行っている株式会社アスピレテック。特にAIを用いたサービスやプロダクトの開発に注力しており、同社人材の強みを活かした「リサーチ君」もローンチ。変化の急速なAI時代において道を切り拓き続けている。同社代表取締役の周涵氏に事業の強みを伺った。


課題あるところにチャンスあり、 AIをより身近なものへ


●先端技術と人々をつなぐ
周代表のキャリアは、新卒で入社したコンサルティングファームから始まる。その中で共に働いてきた先輩社員が会社を設立し、2社目として入社を決意。創業社員としてAIをベースとした事業の領域探索をしながら、企業の支援を行ってきた。そして、2022年に株式会社アスピレテックを創業し、現在3期目の同社。周代表は「1期目に近い形として本格的な立ち上げフェーズにいるのが現在。人材の増員やアライアンスを仕掛けるなど、さまざまな取り組みを行っています」と話す。
AIやDXの導入が叫ばれる昨今。周代表は現状について「技術は進む一方、実生活の中で普及している感覚は依然薄いでしょう。加えて、AIはまだ先端的でむき出しの技術という側面も強い。多くの場合は技術単体ではなく、技術による有益なアウトプットにニーズがあるため、当社では技術と人との橋渡しをしていきたいです」と語る。
●課題の突破を体現したサービス
そのような技術と人々の橋渡しに注力する中、同社がローンチしたのが「リサーチ君」。企業の調査業務を担うサービスだ。同サービスが世に出た背景には、調査業務において2つの難点があったためだという。1つ目は自社で調査が難しい場合、コンサルティングファームや調査会社などに依頼をすることとなり、費用がかさむ点。そして、2つ目は自社内にノウハウがない場合、調査に莫大な時間がかかってしまう点だ。そこで、コンサルティング経験者がAIを活用し、超高速にアウトプットをする同サービスが誕生。コンサルティングファームによる調査とAI技術のいいとこ取りを実現したといえる。
同サービスローンチの背景について周代表は「昨今の日本でニーズが高い領域は、人手不足解消。そして、多くの方が取り組んでいる解決策は大きく分けて2つに分けられるでしょう。まず、DXやAIなど技術導入による業務の効率化。次に、社外に外注を依頼するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)です。しかし、私はいずれも多くの課題が残されていると感じていました」と指摘。続けて「例えば、1点目の技術導入。そもそも日本は諸外国と比べ、AIやソフトウェアをすんなり導入する文化が浸透していません。加えて2点目のBPOに関しても、外注先自体、人材不足が進んでいるのです」と説明する。
コンサルティングファームでキャリアを積んだ経験から、AI技術と絡めて突破口を探していた周代表。「リサーチ君」は調査業務において、費用対効果および時間対効果の両面を実現した。AIの調べ上げた情報を取得するだけでなく、コンサルティング経験者による情報の分析や取捨選択が行われるため、独自性と付加価値の高いサービスだ。




●人手不足解決にダイレクトアプローチ
事業領域の探索に妥協のない同社。リサーチ領域のみならず、周代表が有力視しているのが採用人事領域だ。「技術導入による業務効率化を除けば、人手不足解消に直結するのはやはり人事領域。当社としても取り組むべきドメインだと考えています」と説明。さらに、その狙いについて「人材を紹介することで費用を得るという伝統的なビジネスモデルが存在すると同時に、今後はAI自体を採用する未来が訪れることも予測されます。仮に人間に代わる存在を採用することとなっても、担当するのは恐らく人事部。しかし、人事部はシステムやAIに詳しい人々を集めた部署ではありません。そのため、当社がAIと採用人事のハブになれるだろうと見込んでいます」と語る。
採用人事領域において、周代表は現在描いているロードマップとは。「すでにAIができるのに自動化ができないと考え、人間が行っている業務は非常に多いです。一方で人口は着実に減っており、疲弊する人々も。その課題解決として、当社はシステムやAIなどの”もの売り”をするのではなく、代行業を担うというアプローチをしていきたい。採用代行といえば多くの人が馴染みのあるビジネス形態で、企業側としても理解しやすいでしょう。そしてその裏で、AIに慣れている当社が効率化を行い、成果を出していく。まずはAIを活用した結果を感じてもらうことが重要なのです」と強調する。初めてAIに触れる人々がゼロから学ぶ必要もなく、代行業という理解しやすい形態からスムーズに導入が可能。企業側と同社にとってもウィンウィンな状況を作り出すのが理想だという。
人手不足は日本において非常に深刻な課題である一方、だからこそ大きなチャンスを見いだせるという周代表。その未来志向の源には、新卒で入社した会社での学びが大きかったという。「1社目ではCan Do Mindsetが重視されており、常にできることを前提としていました。仮にCan Doでない状態であれば、どのような障害があり、どのように取り除くのかをロジカルに思考するのです。このマインドセットは私の中で大きな学びになり、今にもつながっていると感じます」と笑顔を見せる。周代表のマインドセットは同社の推進力となり、今後も人々と技術をつなぐ架け橋となっていくだろう。