[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

異なるツールを統合するシステムを中小企業も導入できる価格で

株式会社 Blue Tiger Consulting
代表取締役
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大学で機械設計と日本語を同時に学び、長年に渡って中国と日本で日本向けのソフトウェア開発に携わってきた趙凡代表取締役CEO。その豊富な経験を生かし、現在ではクラウドインテグレーターとして、新型コロナウイルスの影響により進みつつある日本のDX化を支えている。中国出身の彼がなぜ日本に興味を持ったのか、クライアントの経費削減を使命に掲げる理由、企業活動を通じてどのように社会貢献を果たしているのか、描いている今後のビジョンについて話を聞いた。

テレビゲームをきっかけに機械設計と日本に興味を持つ

株式会社 Blue Tiger Consultingは、クラウドERP(基幹業務システム)統合システムと、オムニチャネルコマースシステムの開発からコンサルティング業務までを行うクラウドインテグレーターだ。まだ成長途中でありながら、日本に15人、中国に30人もの社員を抱えている。

代表取締役CEOを務める趙凡氏は中国吉林省出身。高校受験を終えた後に、両親から任天堂のファミリーコンピュータとスーパーマリオブラザーズのソフトをプレゼントされた。「衝撃的な体験で、のめり込んでプレイをしました」と、過去を振り返る。この経験から日本の製造業に興味を持ち、大学で機械設計と日本語を同時に学ぶことになる。1年目で日本語を集中的に勉強し、2年目から5年目は日本語で設計を学ぶという、中国でも当初は画期的なカリキュラムだった。それによって、日本の最先端の技術を学ぶことができたという。在学中にインターネットが普及し始め、大学のホームページの2割程度の制作を担当したということも彼のキャリアの1つだ。

経験を生かして新しい市場を開拓

大学卒業後は日本向けのソフトを開発する上海の企業に従事。大手企業の生産管理や会計管理のソフトの開発に携わったこの経験も、のちの事業に生きることになる。その後、上海カシオ計算機に転職。上海IBMを経由して日本IBMに出向するも、米国で起こったリーマン・ショックの影響を受けて退職を余儀なくされたが、自分の経験を生かせる日本に残ることを決意し、フリーランスとして独立を図ることにした。まずは、米国のオラクル社が開発したERP(基幹業務システム)パッケージのEBSの導入コンサルタントの資格を取得し、経験を積むことになる。

2015年にはBlue Tiger Consultingを設立。「Tiger」は趙氏が寅年生まれであることに由来している。では「Blue」の由来は何なのか。それはBlue Ocean戦略、つまりまだ他社が手を付けていない領域で事業を展開することを意味していた。例えばAIの文字認識を利用した請求書や領収書などの自動入力、スマートフォンやタブレットで利用できるPOSシステムなど、クラウドで使用する技術はたくさんある。「個々の技術は世の中に出そろっていますが、それらを1つのパッケージにする会社は弊社以外にはまだ存在しません。だからこの分野でNo.1を目指します」と意気込みを語った。

ECサイトのバックオフィス業務を一元化

現在はオラクル社が提供するERP「NETSUITE」もビジネス展開している。しかし米国製のNETSUITEは会計ルールの異なる日本では使いづらいという難点があった。そこで上海時代に会計管理のソフトの開発に携わっていた経験や長年の日本での経験を生かし、日本企業が使いやすいようにカスタムを。その成果もあってか、日本パートナーとしては最多の導入実績を誇っている。

新型コロナウイルス禍において業績を伸ばしている分野がNETSUITE とCeligo社の「Celigo Integrator.io」を連携したオムニチャンネル化だ。このサービスは、1つのプラットフォームで、ECサイト運営、倉庫管理、配送手配などのバックオフィス業務を一元化、自動化することを可能にした。それにより人為的ミスを防ぐことと迅速に消費者まで届けることができるという。

便利なサービスであれば、導入費用も掛かるはずだが、Blue Tiger Consultingでは良心的な価格を採用しているという。「資金力がないからといって、中小企業がERPを導入できないのはおかしい。事務的な反復作業をソフトウェアに任せれば、クリエイティブな作業や顧客満足度の向上に仕事をフォーカスできます。それによって1社1社の働きぶりが変わり、社会全体の満足度が上がるはずです」と力強く語った。

「企業は社会貢献しなければ長続きはしません」と話すとおり、企業活動を通じて社会に利益を還元することにも余念がない。現在は、日本が誇る高品質な農作物を中国に向けて輸出する計画もある。そうすることで、売り手と買い手の双方が幸福になり、農作物の廃棄を減らすことができ、SDGsにもつながるという考えだ。

趙氏にはまだ実現させたいアイデアがたくさんあるが、一番の問題はマンパワーが不足していることと、そのための資金力が足りないことだ。まずは従業員一人一人の成長を期待し、ストックオプションを導入した。「『一緒に成長しましょう』という言葉だけでは、ただの精神論になります。社員にオーナーとしての自覚を持ってもらうことが、よりクリエイティブな仕事につながると思います」。と導入の意図を語った。社内でのレベルアップだけではなく、外部の協力も必要だ。2022年7月には、三田証券とIPO主幹事契約を結んだ。活動が広がることで社会により還元できると信じ、4年を目途に上場することを目指している。

趙凡

RECORD

株式会社 Blue Tiger Consulting
代表取締役趙凡
1974年、中国吉林省生まれ。中国大連理工大学機械学部で機械設計と日本語を学ぶ。卒業後、上海で日本向けソフト開発に従事したのち、上海カシオ計算機に入社。上海IBMからの出向で来日を果たしたのち、独立。2015年に株式会社 Blue Tiger Consultingに就任。以来、成長を続け、4年で売上成長率750%の実績を達成している。