[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

エグゼクティブコーチングで、組織本来の力を引き出す。

株式会社コーチ・ジネッツ
代表取締役
吉里彰二
YOSHISATO_SHOJI

企業の利益や成果、部下の育成などに影響力を持つ経営者や経営幹部、部長クラスを対象としたエグゼクティブコーチング。組織が100%のパフォーマンスを発揮するためには、社員個々の能力と同時に、優秀な上司の存在が欠かせないと言っても過言ではないだろう。株式会社コーチ・ジネッツの代表取締役社長である吉里彰二氏は、2021年だけでも約80名の経営者、幹部クラスに対して400回を超えるコーチングを実施。ヒアリングとフィードバックを通し、数多くのエグゼクティブに「新たな気づき」を与え続けている。エグゼクティブの意識改革と組織改革、そしてエグゼクティブコーチングの普及を通し、日本社会の底上げに尽力する同氏の姿に迫った。

「気付き」を与え「行動」を促すコーチング

「コンサルティング」は、ここ数年でなじみ深い言葉になったが、「エグゼクティブコーチング」という言葉を耳にしたことがない人は少なくないだろう。企業の人事問題を解決する「人材コンサルティング」や、経営戦略について指導を行う「経営コンサルティング」、それらと「コーチング」にはどのような違いがあるのだろうか。「コーチングは『解』を一方的に与えるものではありません。『気づく力』と『自発的に行動する力』を培うためにあるものなんです」と吉里氏は語る。

「一人だけで行う自問自答には限界がありますし、思考を誤った方向へと導いてしまいかねません。そこで活躍するのが『エグゼクティブコーチング』です。私たちは答えを教えるのではなく、クライアントが抱える課題に対して、様々な質問を投げかけていきます。どのような意図で部下に発言しているのか、怒った理由は何なのか、行動に目的が伴っているのか。質問と回答のサイクルを繰り返し、思考が整理されると、新たな気づきが生まれます。すると、自発的に行動を起こすようになるのです」。経営者や経営幹部となれば、つねに人・組織・利益に関して激しく思考を巡らせなければならない。しかし、周囲から意見されにくいトップ層という立場上、独断的な考えに陥ったり、傲慢になってしまったりする人も少ない。第三者からの問いかけが、自分自身の言動を顧みるきっかけになるのではないだろうか。

組織力を底上げするために

部下を束ね、組織を動かすうえで欠かせないこと、それは「怒り」と「言葉」のコントロールと言っても過言ではない。過度な叱りはもちろんだが、何気ない一言ですら、部下にとっては萎縮の材料となってしまう。社長や経営幹部の発言の影響力は非常に大きく、それらを上手くコントロールできるか否かで、組織全体のパフォーマンスは大きく変化するだろう。

「経営者や上司の行動、一言で、組織が本来持つ力を毀損してしまっているケースがあります。怒鳴りがちな方には、そこに『心地よさ』があるかどうかを尋ねています。怒鳴った瞬間はスカッとして気持ちいいでしょう。しかし、数秒後、数分後には後悔が生まれませんか?怒鳴った自分、怒鳴られた部下、それを見ている周囲の社員、全員にマイナスな感情が生まれるはずです。そんな状態は『心地いい』と言えるでしょうか?自ずと答えは出てくるはずです」。そう吉里氏は常に問いかける。

日本の企業、社会をよりよいものへと

コーチングの際には、当事者の部下にもヒアリングが行われ、吉里氏によるフィードバックが適宜実施される。普段知ることのない部下の本音に気付ける機会は、重役にとって非常に貴重だ。多くの経営者や幹部は、自身の部下が想像以上に気を使っていることに気付けていないことがあるようだ。

「部下は想像以上に報告に気を使います。常に部下に対して、『話してくれてありがとう』という気持ちを忘れないことも大切です。報告を拒んでしまうと、それも委縮の原因になるのです。もし報告のされ方が気に入らないのであれば、それはなぜでしょうか。どのような報告のされ方が『心地いい』のでしょうか。自分が心地いと感じる報告方法を部下に伝えていますか?」吉里氏からの問いと思考を繰り返すことで、心地よいと思える解を自ら導き出し、行動に移す。思考と行動の習慣を身につけたことで、部下を威圧するほどの叱咤が改善した依頼者もいるそうだ。

「組織は人間の塊。いくら良い経営戦略を掲げたとしても、そこにいる人が力を発揮できなければ意味がありません。イノベーションも大切ですが、その前に今100%発揮できていない組織力を100%に持っていくことも同じぐらい大切なんです」。

エグゼクティブコーチングの必要性を社会に発信し続けてきた吉里氏。そんな同氏は今後のビジョンについて次のように語ってくれた。「欧米では当たり前のように行われているエグゼクティブコーチングですが、まだまだ日本では認知度が高くありません。その必要性を説き、普及させていくことが私の役割だと考えています。そして、私のコーチングを受けた方にも、ぜひいずれはコーチの立場になっていただきたい。よいコーチが増えれば、よい経営幹部が増え、よい企業が増えます。それが日本経済の成長に繋がると確信しています」。組織で働く人、企業、そして日本社会の力を底上げするために、吉里氏のチャレンジは続く。

吉里彰二

RECORD

株式会社コーチ・ジネッツ
代表取締役吉里彰二
1958年生まれ。東京都出身。1982年東京大学経済学部を卒業後、三菱化成工業へ入社。29年間人事に携わる。その後、三菱ケミカルホールディングスアメリカInc.社長、㈱三菱ケミカルホールディングス 執行役員監査室長、大陽日酸㈱ 取締役常務執行役員チーフコンプライアンスオフィサーを歴任。2020年、株式会社コーチ・ジネッツを創業。