[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

「顧客に寄り添う」を主眼とした柔軟なアドバイザリー

ロタンダコンサルティング株式会社
代表取締役
和田洋介
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企業間のM&Aが活発化し、仲介業者も増加している中、ロタンダコンサルティング株式会社は、あえて「片側FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」に特化したサービスを提供している。片側FAは、売り手または買い手のいずれか一方に属して助言やサポートを行う。その意味で、両者から報酬を得る仲介業者と異なる立場にあった。一般には、大手企業は片側FAを活用し、中堅・中小企業は仲介業者を利用する傾向があると言えよう。「売り手または買い手の『思い』に寄り添い、最適な結果を導き出すのが正しいM&Aのあり方ではないか」そう考える和田洋介代表取締役に、片側FAを超えた幅広いコンサルティングを展開する思いについて話を聞いた。

片側FAの役割と重要性の認知拡大

大手企業のM&Aに長く携わってきた和田氏にとって、片側FAは「常識」といえる存在だったという。仲介業は、売り手・買い手双方の利益を考慮するが、利益相反が生じやすい構造であり、大手企業では敬遠されることも多い。「社長と社員が一丸となって育て上げた企業、オーナーにとっては人生そのものとも言える企業を売買するのであれば、価格や条件面だけでなく、企業に込めた思いまで受け止めてくれる相手を選びたいと思うのが人間の心理。それを実現できるのが、片側FAだと考えています」と彼は語る。

一方で、和田氏が課題として挙げるのが、片側FAの認知度の低さだ。日本企業の大多数を占める中小企業では、M&Aといえば仲介業者という認識が一般的であり、片側FAという存在はあまり知られていない。この情報格差を埋めるため、ロタンダコンサルティングは自社の活動を活発化させている。「自社の利益を最優先に考えて交渉を進めてくれるアドバイザーの存在を知ってもらうことで、日本の社会構造に変化をもたらせるかもしれません。特に中小企業にとって、『思い』を大切にしてくれるという点で大きなメリットがあります」と話す。

経営者と同じ目線で、事業を共に支えたい

ロタンダコンサルティングでは、M&Aを成約させて終わりではなく、成約後に生じる課題の解決や、M&Aによる効果を向上させるためのコンサルティングを提供している。

「理想としては、中堅企業のオーナーの悩みの相談役となり、今後の経営戦略の構築をサポートする。その中で、M&Aが選択肢に挙がれば実行し、成約後も企業が定めたゴールに向けてシナジーを追求する方法を共に考えていきたい。M&Aを軸とした短期的なお付き合いではなく、企業の持続的な成長を支える長期的なパートナーでありたい」と意気込んだ。

その実現には、「圧倒的な当事者目線」が欠かせないと和田氏は強調する。当事者意識を超える姿勢が重要であるという彼の信念は、500件以上のM&Aを経験した実績に裏付けられている。企業の内部に深く入り込み、経営者や現場の人々が何を考え、何を感じているのかを的確に把握し、それに基づいた具体的で実現可能な提案やアドバイスを提供する。その徹底した姿勢と信念は、同社が多くの企業から信頼される理由となっていた。

M&Aの成約=成功という考え方を持たない

経営者は誰しも、自分の理想や譲れない価値観を持っている。それを深く理解している和田氏は、形のないその思いをしっかりとつかみ、それを優先事項として、柔軟さを持ちながら具体的な支援を行っていた。このアプローチこそが、企業との確かな信頼関係を築く基盤であると言えよう。和田氏が常に意識しているのは「圧倒的な当事者目線」から生まれる活動であり、この姿勢がロタンダコンサルティングの強みとなっている。

「企業と契約を交わす前に3〜4回程度の面談を行い、そこで企業の現状を把握してどのように自分が関与すべきかを見極めています。その上で、私は何ができるのか、企業にとって最も有益な形で関与する方法を考えます」と語る彼は、M&Aの成約そのものが目的ではない。むしろ、その後の企業の発展や、経営者のビジョンの実現を見据えたサポートを重視していた。

さらに、和田氏は企業との相性も意識するという。経営者の価値観と自分のそれがあまりにも乖離している場合、自分ではなくその企業に合う別の人材が支援を行うべきだと考えているからだ。

企業が活性化し、大きく発展すれば、その影響は周辺にも波及する。過疎化が進む地域にも、優良企業が存在することは少なからずあり、その進化を支援することで地域経済の向上が期待できるかもしれない。いわゆるシャッター街を1店舗ずつ立て直すのは難しいが、注目すべき企業に焦点を当て、その企業の成長を支える形で自らの業務を展開することも和田氏の視野に入っていた。

その一方で、彼の目線はスタートアップ企業にも向いている。特にIT関連では、専門知識が豊富でも経営や財務戦略に弱点を抱えているとの事例が多く見られるのが現状だ。スタートアップ企業が順調に成長すれば、日本の社会経済を支える新たな力となる可能性があるため、和田氏はその支援にも関心を持っている。コンサルタントとして彼らの成長をサポートし、企業の足腰を強化する支援を行っていきたいと考えているのだ。

大企業での勤務経験があるにもかかわらず、最終的に独立を選んだのは、顧客となる企業により近い場所で支援を行いたいという強い思いがあったからだったと和田氏は振り返る。そして今、まさにその思いは実現され、彼はそこからまた新たな課題を見つけて、さらに前進していくのだろう。

和田洋介

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ロタンダコンサルティング株式会社
代表取締役和田洋介
証券会社の国内営業部門を経て、米国にてMBAを取得。帰国後は同社の投資銀行部門で11年間、M&Aアドバイザリー業務に従事し、金融機関向けM&Aチームのヘッドとして業界再編案件を多数実現した。その後、米系保険会社日本法人の事業開発責任者、ベンチャー企業の代表を経験、現在に至る。