[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

少数派に身を置き、眺望する世界虎視眈々と研ぎ澄ます投資の流儀

株式会社ADOYOSU
代表
高澤有紀
TAKAZAWA_YUKI

「もし私が投資した<彼のビジネス>が頓挫したとしても、<彼>は次の何かを創り始めるだろう。私は、その<彼>に投資するのだ」と話す高澤氏。視聴者数52万/3億再生を誇る投資リアリティ番組(YouTube配信)の「虎(投資家)」の1人だ。時に異質にも映るビジネス観はイスラエル国で培われたと話す。四国ほどの国土に約930万人が暮らすイスラエル国は、GDPに占める研究開発費や国民1人当たりの起業率の高さなどからビジネス大国とも言われている。高澤氏が大学院卒から起業と25歳から35歳までの時期を同国で過ごし吸収したものは計り知れない。そして、もともと高澤氏の中に秘められていたフィロソフィーと同国との共鳴にも注目したい。

イスラエルで起業。「行動力が波を引き寄せた」

20数年前「日本への退路を断ってもいい」とイスラエル国へ留学。ヘブライ大学では院生として政治学を専攻する。もとは国際ジャーナリスト志望であったため、各地に足を運び自らの目で知見を集める日々であった。2005年には現地でインターネット広告・コンサルティング会社を起業。当時ミステリアスに包まれていた日本市場との橋渡しを強みに、アメリカやイギリスの企業に施策提案からテストマーケティングまでワンパッケージで提供した。「世界と日本の市場がどうつながるかなんて、誰にも予測のつかなかった頃のこと。成功率を検証している時間があるなら一足でも速く行動しなければと考えた」と、当時を振り返る。そして数々のギャップインザマーケットを起こしてきた。その快挙を「能力×プラン×行動力の掛け算があるとするなら、まさに行動力が波を引き寄せたのでしょう」と笑み話す高澤氏。その後、2014年にはパートナーと2人の子どもたちと共に東京へ移住することとなる。パートナーの日本支社への転勤が主たる理由だが、その時、なんと子どもたちは2才と0才だったことからも並々でない決断であったようだ。

パートナーへの最大級の敬意を込めた選択

東京では株式会社ADOYOSUを設立。ここから語られる数年は主に家族のことである点も興味深い。高澤氏のパートナーはロシア系ユダヤ人の女性である。育ったロシアにもルーツたるイスラエル国にも寄る辺ない心情を慮っていた高澤氏は「彼女に1人の人間として、自らの手で自らの価値を創り出す、そんな機会を逃して欲しくなかった」と、日本でのキャリアアップを支える決意や、彼女への最大級の敬意を込めた選択であったと話してくれた。「自分の信じた人がどう夢を実現するのか…そこに懸けたかった」と話す力の込もった表情は、投資先の「人」を想う姿勢と折り重なる。かくして主夫として父親として、起業家として日本での生活が始まる。これまでに培った海外ネットワークと情報収集力、鋭角な予知力は高い利益率の事業を可能とし、合間をぬって家事・育児にキックボクシングやジムなどの自分時間も捻出する。高澤氏はその全てに高い優先順位を置いており、平衡しながら<当然>レベルを上げていくこと、その行動自体が生きるバイタリティなのだと話してくれた。ビジネスそれ自体に身を投じる仕事人とは一線を画すスタイルである。そんな高澤氏の信条にさらに迫る。

自分はいつも少数派でいたい。今までも、これからも

例えばSEOマーケティング施策ひとつとっても、前例や成功例のない方法を躊躇なく選り抜く高澤氏。予知リスクよりも未知なる成果に懸け、ブルーオーシャンをバッサリと刈り取ってゆく。そんな行動指針が「常」なのだと。「私はスパゲティ戦略と呼んでいます」と笑み話す高澤氏。「バーン!と壁に当てて、貼りついた1本にWダウン、テストマーケ、ABテスト、キャンペーンとさらに叩き込む。打ったものには即次の行動を促していく」と、動力の持続に余念がない。「他者が進言するレールに乗らない」「行動から実際に得たものを糧とする」高澤氏の常態フォームである。その感覚を研ぎ澄ますため「メインストリームに対し常に警戒して意識的に距離を取る」のだとも話してくれた。マジョリティに同化・同調し、時には共感の中に身を置くことは、ある種の<気持ちよさ>がある。それは、自己意思決定の切実性を希釈し、誰かに依(よ)り、思考を停止することと表裏一体でもある。「生まれ育った日本では何度かそんなシーンに出くわし、ついにその違和感を払拭できなかった。だからイスラエルに渡った」と語り、「自分はいつも少数派でいたいし、場違いな環境で生きていきたい。今までもそうだし、これからもそうだ」と続ける。

高澤氏がイスラエル国で感じたもの、それは「大事なことを守る、そのことに非常に実直で、まる裸な姿勢」である。「何かに依(よ)って立つ」などという選択肢はありえないゆえ、意欲的な挑みが常態化する国である。ビジネスにおいて「失敗」という概念が乏しく、必要試技として次ステージに活かし切る。挑まなければ、行動しなければ、失敗すらも生まれない。ひいては、イノベーティブの創出も期待できない、そのことの方が問題なのだ。そうした機運が漂う国内において、マインドを支えるのは論でもデータでもなく「人」だという点も強調したい。この国風は、まさに高澤氏が胸中に秘めてきた生き方や仕事観とも類似する。イスラエル国と高澤氏の元来の性格が相乗し、現在の「高澤有紀」氏が誕生したとも言えるだろう。投資家として「プランや数値だけではなく、その<人>を見る」と語るのは、むしろ相当の厳しさであり、同時に相手への深い敬意とも読み取れる。では、歩みや挑みのための動力(行動力)を支えるものは何なのか?との質問には「いつだって止まれるのならば、いま止まる必要はない。歩みを阻むものはいつも<恐れ>。1歩1歩と主体的に進むとき、人は恐れない」と応えてくれた。

高澤有紀

RECORD

株式会社ADOYOSU
代表高澤有紀
2004年イスラエル・ヘブライ大学院卒業(政治学)。2005年IT広告会社をイスラエルで企業。2014年 WEB広告会社「株式会社ADOYOSU」を日本で創業。視聴者数52万/3億再生を誇る投資リアリティ番組(YouTube配信)の「虎(投資家)」の1人としてレギュラー出演中。