バイオ燃料供給とCO2の見える化推進で建設業界が加速する脱炭素を支援
Conversation株式会社リバスタ
代表取締役
高橋巧
三和エナジー株式会社
代表取締役社長
高松克行
日本は2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指し、脱炭素への取り組みを加速している。そうした中、建設業界において重機などの燃料使用に由来するCO2排出量の管理・削減に向けた取り組みが注目を集めている。連携して取り組む2社の代表が革新的な挑戦について語った。
―両社の主な事業内容は。
高松
「
三和エナジーは宇佐美グループの一員として、全国に600台を超えるローリー車を有する配送ネットワークを活かし、主に建設現場の重機への燃料供給を行っています。また、大規模災害時のエネルギーサポートや、今年からはバイオディーゼル燃料のプラントを立ち上げて、製造から配送まで一貫して行い建設現場のCO2削減への貢献を目指しています。
」
高橋
「
私たちリバスタは建設業界に特化したSaaS型ビジネスを展開し、建設業が抱えるさまざまな課題解決に向け、ITサービスを通じてソリューションを提供しています。それらのサービスは皆さんに使っていただくことで、建設現場の生産性向上や働き方改革につながり、環境への配慮にも貢献するものです。
」
―三和エナジーがバイオ燃料を導入した経緯は。
高松
「
建設業界が環境への取り組みを積極的に進めていることから、CO2排出量が削減できるバイオディーゼル燃料の製造から配送・販売まで一気通貫のサプライチェーンを構築すれば、支援できると考えました。特に高純度なバイオディーゼル燃料が求められていることから、自社プラントで品質にこだわって提供しています。
」
―リバスタの環境貢献は。
高橋
「
創業以来、産業廃棄物の管理業務を効率化する電子マニフェストサービス『e-reverse.com(イーリバースドットコム)』を提供しています。さらに、建設業界のお客様からCO2排出量の見える化ができるソリューションのご要望を受け、お客様の業務負担を増やさずに脱炭素への取り組みが支援できる、CO2算定サービス『TansoMiru(タンソミル)』の提供を開始しました。
」
―そうした取り組みを進める両社が連携したきっかけは。
高松
「
バイオ燃料はCO2排出量の削減に貢献するものですが、それが見える化できるのとできないのではスピード感が大きく違ってきます。そうした中、お客様であるゼネコンからリバスタと進めている見える化の取り組みに参画しないかという話をいただき、願ってもないことですぐにお受けしました。当社からも配送などについて提案できればと考えています。
」
高橋
「
建設現場全体のCO2排出量を算出するにあたり、燃料使用に伴うCO2排出量は大きな割合を占めますので、その供給元である三和エナジーとの協働は、願ってもない話でした。今後、取り組みが広がっていけば、業界として皆がメリットを享受できるようになっていくと思います。
」
高松
「
実際、業界の皆さんの関心は高く、2月に埼玉県狭山市のバイオディーゼル燃料プラントが竣工してから、非常に多くの方が見学に来られています。その際に皆さんから聞かれるのは、今後安定供給できるのかということで、現在は大阪府岸和田市で次のプラントを建設しているほか、北関東に備蓄基地を設けるなど、地震などの大規模災害時にもリスクを分散して安定供給できるよう、体制づくりを着実に進めています。
」
高橋
「
関心の高さとともに、建設業界の皆さんのより良い仕組みをつくりたいという熱意も強く、今回のCO2排出量を見える化する取り組みには既に15社のゼネコンが参画しています。実証実験も、各社から随時意見をいただいてブラッシュアップしながら順調に進んでいます。
」
―今後に向けては。
高橋
「
三和エナジーの参画を得て、現在の15社での実証実験を着実に進め、しっかり成功事例をつくって皆さんに見ていただくことが重要だと思っており、それによって将来的に参画企業も増えていくと考えます。また、当社のソリューションについて言えば、『TansoMiru』の提供により現在は『燃料』に関するCO2排出量管理を支援していますが、今後は『電力』に関しても支援できるようにすることで『CO2排出量の総合的な見える化』を実現し、その管理・削減に貢献したいと思います。
」
高松
「
やはり、建設業界はCO2排出量削減に対する意識が高く、ゼネコンは費用負担が大きくなってもバイオ燃料を使いたいと考えており、私たちが協働で進めているCO2排出量を見える化するシステムが出来上がることで、それが加速するのではないかと思います。
」
―最後に、メッセージを。
高橋
「
建設業界に対し、当社の提供するソリューションをご活用いただくことで現場単位でのCO2排出量見える化を実現させ、CO2排出量削減に向けた提案に取り組んでいくことも検討しています。さらに、建設会社だけでなく、関係する省庁やデベロッパー、設計会社などを巻き込んで、多様なプレイヤーが同じ意識で環境貢献することに尽力できたらと考えていますので、ぜひご期待ください。
」
高松
「
私たちにできることや役割を十分理解し、可能な限り邁進することでこれからも新しい時代の変化に対応し、スピード感を持ってお客様の声に応える企業であり続けたいと思っています。結果として、それがSDGsへの貢献につながると考え、両社の連携をさらに強固にして取り組んでいきたいと思います。
」
三和エナジーは、工事現場や産廃プラント、工場、ホテル、ビニールハウスなどへの燃料配送という、事業自体が社会貢献につながっている。また、大規模災害の被災地に燃料供給などを行うエネルギーサポート事業も重要な社会貢献だ。一方リバスタも、電子マニフェストサービス『e-reverse.com』による産業廃棄物の管理業務効率化や、今回紹介した『TansoMiru』によるCO2排出量の算出・可視化サービスなどにより、事業を通じて社会貢献を続けている。
高橋巧高松克行
RECORD
1964年生まれ。1988年鹿島建設入社、主に情報システム構築のエンジニアリング業務に従事。その後2社での取締役を経て、2007年イーリバースドットコム(現リバスタ)設立。代表取締役就任。
RECORD
1969年生まれ。1991年関東宇佐美入社、販売統括本部、経営企画本部を経て東日本宇佐美・神奈川支店、西日本宇佐美・山陽支店の支店長を歴任。2018年三和エナジー代表取締役社長に就任。