[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

最先端の生体情報解析技術で医療の世界に革命を起こす

株式会社SFM
代表取締役CEO
鈴木
SUZUKI_TAKASHI

世界に類を見ない最先端技術で生命科学の未来に貢献

2021年の夏に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会でも採用された顔認証技術。以前までは公共交通機関をはじめ、さまざまなシーンでの利用が期待されていたが、2021年末に国の個人情報保護法委員会は規制を強化する方針を固めた。取得したデータの保存期間の明示や、データの廃棄方法の公表を求めることなどを検討していくという。

「公的な利用や企業内などの限られたところでは、顔認証技術は重要。しかし不特定多数の人が利用する場では難しい。世界的にもそのような流れになっている」と話すのは、株式会社SFMの代表取締役CEOを務める鈴木孝氏。同社はエッジコンピューティングによるAI型フェイス画像解析システムで、世界に類を見ない最先端の顔認証技術を牽引してきた。

画像解析技術、膨大な量の情報を用い最適な解を見つけ出すAI技術、高度な暗号化技術など、複数の先端技術によって超高速・軽量・省電力のフェイス画像解析エンジンを開発。そして、2020年春から続くコロナ禍において、画像解析技術は非接触=安全という点に着目し、「健康寿命を延ばし、社会に貢献する」をミッションとして、医療分野に可能性を見出した「SFMは従来の顔認証システムとは異なり、未来型の高度な生命科学研究開発を担う会社。会社を設立する以前から、世界のどこにもない高度な画像解析に基づく技術で医療や生命科学の進歩に寄与したいと思っていた」と、鈴木氏は理念について語った。

非接触でバイタルサイン測定を実現

同社はまず、高度なフェイス画像解析で培った技術から生み出された、非接触による脈拍測定システムをつくり、次に酸素飽和度測定システムを完成させた。コロナ禍で注目された酸素飽和度とは、動脈血中のヘモグロビンのうち何%が酸素と結合しているかを示すもので96%以上が概ね正常値とされている。システムはAIカメラとパソコンのみのシンプルなハードウェア構成。「現在の酸素飽和度の測定は、パルスオキシメータを代表とする接触型の測定が一般的だが、当社の測定システムはカメラから約2m離れた場所から顔を撮影するだけで、正しい数値を数秒後にはパソコンのモニターに表示させることが可能だ」と、酸素飽和度測定システムの利点をアピールする。

「人間の体内を循環する微弱な生体情報を数秒のうちに同時・多重に解析。より正確性を追求する場合、流動する生体情報をそのまま解析する必要がある」と、検査の原点に戻った測定方法であることを力説した。そして同社は、糖尿病の早期発見にも必要な代表的指標のひとつとして知られるヘモグロビンA1cの非接触・非侵襲による測定も実現させた。これまで採血以外で、非接触で測る方法がなかったことを考えると、まさに画期的な出来事といっていいだろう。

LDLコレステロールやクレアチニンの測定も可能に

「採血による検査は、身体や精神に少なからず苦痛を与える。また結果が分かるまでに時間がかかったり、医療従事者の針刺などの感染の問題があったりする」と、採血の課題を挙げた。体の中を流れる生体情報を解析するという原理を考えると、今後もさまざまなバイオマーカーを測定できる可能性を秘めている。実際に、動脈硬化や心筋梗塞にも関係する指標で、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは2022年秋ごろ、慢性腎臓病の早期発見にも有用な指標であるクレアチニンは同年冬ごろを目途に測定システムの開発が進んでいる。

さらに、「これまでの一般的な血液検査では数個~30項目程度までの測定が多いが、その他にも数百種類の項目がある。その中で重大な病気のスクリーニングに有用な項目を考慮しながら可能な限りシステム化していきたい」と、これからの開発に意欲を燃やす。また、「病気の早期発見に貢献するだけでなく、薬の血中濃度の経時的変化を数秒で測定し、医療現場に送ることで、治療経過の予測や治療方針の判断に役立たせる」という測定内容の質についても追及していく。

同社のこうした取り組みは、日本の膨大な医療費の抑制にもつながる。例えば、年間約43兆円という日本の医療費のうち、約8兆円が糖尿病と関連の合併症によるものといわれている。「ヘモグロビンA1cの非接触型生体情報解析技術が実用化されれば、検査コストを抑えることでかなりの医療費を削減できるはず」と、自信をのぞかせる。
注目したいのは検査の利便性や安全性だけでなく、環境保護という社会からの要請にも応えられることだろう。非接触だと検査試薬や注射針などの医療廃棄物がなくなり、それゆえに製造時に発生する大気汚染物質の排出もない。「健康寿命の延伸に加えて、環境保護をはじめとしたSGDsの実現も視野に入れている。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けては、技術のイノベーションが必要。その鍵を非接触に見出した」と、世界的な課題にも挑戦していく。

鈴木孝

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株式会社SFM
代表取締役CEO鈴木孝
東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。情報や金融分野への出資を行う中、画期的な技術で社会貢献できる企業をつくりたいと考え、生体認証や高度な画像解析の分野に参入。2015年に株式会社SFMを設立し、高度なAI型三次元顔認証フェイス画像解析システムを開発。2020年以降は非接触の画像解析技術を発展させ、「健康寿命を延ばし、社会に貢献する」をミッションとして、バイタルサインを始めとしたさまざまなバイオマーカーの測定を実現させた。