[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

補助金活用を支援することで、企業の成長に貢献

株式会社Essencimo
代表取締役
杉田龍惟
SUGITA_RYUI

補助金や助成金の情報を耳にし、軽い気持ちで調べたものの、その煩雑さに早々と諦めてしまったという事業者も多いのではないだろうか? そんな申請の事前準備から事後報告までの面倒な手続きをまとめて引き受けているのが株式会社Essencimoだ。2019年4月創業と若い企業でありながら、豊富な経験を元に高い採択率を誇り、顧客の信頼を勝ち取っている。サービスが生まれた理由、事業を行う上で大切にしていること、スタートアップに着目している理由、今後の展望などを代表取締役の杉田龍惟氏に聞いた。

「補助金オフィス」に委ねることで本業に集中できる

「一言でいえば補助金のコンサルタントです」と代表取締役の杉田氏が話すとおり、株式会社Essencimoは、主に中小企業向けの補助金や助成金の申請支援を事業としている。引き受ける顧客の業種や規模を絞らず、法人・個人問わず幅広く対応していることや、申請締め切り直前での対応も可能であるというフットワークの軽さが、支持を伸ばしている理由の1つだ。

代表的な補助金の1つに、中小企業の設備投資の支援を目的とする「ものづくり補助金」がある。最大で1000万円を受け取ることができるのが魅力だが、交付までの道のりは複雑だ。申請の前段階として事業計画書、決算書等の必要書類を10点近く用意する必要があり、様々なプロセスを経て交付された後も報告書の作成が必要だ。ノウハウを持たない事業者が自力で手配をすると、時間や人材をそのために割くことになり、本業がおろそかになりかねない。そこで活用できるのが、面倒な作業を一気通貫で代行する「補助金オフィス」のサービスだ。「弊社のように一度の公募で何十件も申請でき、しかもほとんどを採択まで持っていける補助金コンサルタントは限られていると思います」と自信を見せた。

別事業の経験を経て、補助金コンサルタントに転向

今でこそ補助金コンサルトとして事業運営をしているが、サービスが生まれるきっかけは別の事業で失敗した体験だった。アパレルの分野でECビジネスを展開しようと計画している最中、いわゆるエンジェルと呼ばれる投資家と話をする機会を得た。その投資家はDtoC(Direct-to-Consumer)のモデルで成功を収めつつある人物で、再現性のあるノウハウの提供と投資を申し出てくれたという。大学の2学年上の学生がメディアビジネスを展開し、数年で会社を売却するという成功モデルが出始めていた頃でもあった。それも刺激になり、投資家に指導を仰ぎつつ、DtoC(Direct-to-Consumer)のモデルで美容家電の輸入販売を始めた。

「広告費をかけないといけないビジネスモデルにもかかわらず、資本を効率的に投下できず、シンプルに力不足でした」と振り返ったとおり、事業をうまく展開できずにいた。資金がショートしかけたときに、お金の持つ力の大切さを実感し、インターン生として働いた経験のある補助金コンサルタントに転向。認定支援機関を取得し、2021年に補助金関連を総合的に支援する「補助金オフィス」をリリースした。

真摯に向き合うことで顧客も自社もメリットを得られる

事業を運営する上で大切にしているのが、顧客に対して真摯に向き合うということだ。同業者の中には、申請する段階で数十万円という着手金を取り切り、採択されなくても他人事というスタンスの業者も存在する。「そういった方法は外から見てもモラルを疑いますし、1、2年は稼げるかもしれませんが、中小企業支援という文脈で生き残ることはできないでしょう」と指摘したうえで、「シンプルに手を抜かない、きっちりやり切るということを大切にしています」と姿勢を示した。

真摯に向き合うことは、顧客にもメリットがあるという。粒度の高い情報を得られないと、事業計画書は抽象的な表現になり、採択の確度が下がってしまう。コンサルタント側で顧客のいる業界の課題をある程度調べることはできても、ボトルネックは実際に業務に携わっている人間でないと分からないことがほとんどだ。「互いに真摯に向き合い、情報をできるだけ引き出して、それを事業計画書に還元していくことで、win-winになれます」という。

幅広い業種の支援を対象としているが、大きなターゲットの1つにスタートアップ企業がある。補助金は、国の財産を事業者に還元して、生産性とそれに伴う利益率を高め、法人税で回収するという仕組みだ。最も良くないのは、設備の買い替えなどに使われるだけで、利益が伸びていない状態だ。「スタートアップ企業であれば投資対効果が高く、成長したときに10倍以上になることもあります。彼らの成長に注力していったほうがGDPないし税収増加にダイレクトに貢献できるはずです」と国の成長を見据えた狙いを語った。

ものづくり補助金に関して言えば、採択される大部分が中小企業だ。補助金の民主化を進めたいと考える杉田氏が考えているのが、スタートアップ企業が使いやすい補助金づくりだ。「自社で補助金交付を行うわけではなく、国の予算などをそちらの方向性に持っていけたら面白いと思います。それができるところまで入っていけると、補助金コンサルタント業界の中では一番強くなれるはずです」と展望を描いた。

杉田龍惟

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株式会社Essencimo
代表取締役杉田龍惟
1998年、東京都生まれ。東京大学経済学部金融学科卒業。2019年4月、在学中に株式会社Essencimoを創業。2021年補助金関連支援総合サイト「補助金オフィス」をリリース。中小企業の課題解決や資金調達のサポートを行う認定支援機関も取得している。