[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

社会に変革をもたらすための手段として加速させるビジネス

合同会社BERUBAH
代表
シレガルジュリアントラ
SIREGAR_JOELIANTORA

労働人口減少の影響などもあり、依然活発な動きを見せる人材関連業界。すでに多くの企業が参入しているレッドオーシャンだが、そこにあえて乗り込んでいった企業がある。それが、シレガル ジュリアントラ氏が代表取締役を務める合同会社BERUBAH(ブルバ:インドネシア語で躍進、変革などの意)だ。
人材の育成、派遣、サポートを軸とする同社だが、その他にも営業代行事業、イベント事業、スポーツ事業、海外事業などにアプローチ。積極的かつ多面的な活動を行っている。そんな企業を率いるシレガル代表はどんな理念をもって事業を行っているのか、そして何を成し遂げたいのか。自身の言葉で語ってもらった。

多感な時期に得た海外経験、その影響の大きさ

日本とインドネシア、二つの故郷を持つシレガル代表は、その境遇と経歴から比較的早い時期に、そして頻繁に海外との接触をもった。小学生のときだけでなく、高校卒業後にもインドネシアに滞在。その後サッカーのアマチュアリーグで活躍していた頃には、インドネシア、トルコに拠点を置いた。

「特に初めて海外に出た小学生の夏休み、日本とインドネシアの違いに衝撃を受けました。自分と同じくらいの年齢の子どもが働いている、そのなかには家のないストリートチルドレンもいる。その後トルコにいたときも、シリア難民の方と直接話をしたりしました。これらの経験によって、私の価値観は大きく変わった。また、最初は違いに驚くばかりでしたが、徐々になぜこんな社会状況になっているのか、どこに問題点があるのかなどを考えるようになりました」

日本だけでなく、世界を意識するようになった彼は、自分の中に存在する「常識」の枠を外した。そして後年ビジネスに携わるようになってからも、常識にとらわれず物事を俯瞰して見ることを心掛けるようになったという。

自分の理想とする社会のあり方を実現させるために起業

日本へ帰国した後、営業代行会社に就職したシレガル代表は、そこで「今の自分に足りていないもの」を積極的に吸収していく。上司や社長の動きから経営とは何かを見て学び、知識を補完するために書籍や動画などにも触れていった。また、自身で「弱い」と自覚していたヒューマンスキルを磨くことにも努めたのだ。

そんなとき、親しくしていた企業の社長に、自身の思い、やりたいこと、理想的と思う社会のあり方などを語ってみると、「それなら独立した方がいい」と助言を受ける。それまで「独立は考えていなかった」と言うシレガル代表だが、持ち前の社交性を発揮してさまざまな人から起業のノウハウについて教えを乞う。そのうえで、営業代行業務等で磨いたマネジメント力、作り上げてきた多彩な人脈を活用し、合同会社BERUBAHを立ち上げることとなった。

「ヒューマンスキル、マネジメント力、経営手腕、いずれにおいても発展途上でしたが、それでもチャレンジする価値はあると思った。今でもそれらの能力を向上させながら、自社メンバーとともに成長していく、そんなスタイルをとっています」

人は、社会は、変わっていける。
そのための手助けを

合同会社BERUBAHは社会貢献を目標として掲げている。「その第一歩として、まずは私の目の前にいる求職者の方の力になりたい。そのため、面談では就労条件を合わせるだけでなく、求職者が2〜3年後にどうなっていたいかを探り出し、その実現につながる就労先をマッチングしています。仕事先でどんなスキルを身に付けられるか、そのスキルは求職者が思い描く将来にきちんと結びついているか、までを考えてアドバイス。ただ報酬を得るだけでなく、自分の成長につながる案件を紹介するよう努めています」

そんな活動から得た自社の利益は、新規事業の立ち上げ、自社メンバーが発案した企画の実現などに活用される。「会社として利益を追求するのも大事ですが、私はそれよりもいかに社会に良い影響を与えていくかを重視しています。個人の成長を促して、もちろん私自身も成長して、少しでも社会に変化をもたらしたい」と力強く語る。

特にシレガル代表は、日本女性の労働環境改善に関心を持つ。これは、仕事でもプライベートでも、そんな問題を抱えた女性に多く出会ってきたからだ。「女性だからこその苦労」を減らす手助けをすること。現在彼は、それを大きな課題として捉えて向き合っている。

ビジネスとは、社会にある何かしらの問題を解決していくためのもの。そう考えているシレガル代表は、現在主軸としている人材事業だけにこだわるつもりはないという。むしろ何ものにも縛られない物の見方で社会を捉え、自分が助力できるフィールドがあれば自社事業としてどんどん取り込んでいくつもりだ。

「これはまったくの構想ですが、いつかは日本やインドネシアに孤児院、学校を作りたいと考えています。生まれた環境によってチャンスの有無が決まってしまう社会に、変革を与えたい。私が女性の問題について関心が深いのも、女性たちが育てている子どもこそがこれからの未来を作っていくと考えているからかもしれません」

経営者としては未熟であると謙遜するシレガル代表だが、彼の中には確固たる軸がある。より良い日本、より良い世界の実現を目指す彼の思いは、今後もブレることはないだろう。ただしそこに行き着くために、彼も、合同会社BERUBAHも変化していくはずだ。今はそんな自分のやり方に共感、協力してくれる仲間を増やすこと。一人の力でできることには限りがあると理解しているからこそ、彼は「みんなで」世界を変えていこうとしている。

シレガルジュリアントラ

RECORD

合同会社BERUBAH
代表シレガルジュリアントラ
2016年高校卒業後、インドネシアへサッカー留学。アマチュアリーグで2年弱活躍後、怪我などによりプロになることを断念し、帰国。2018年営業代行会社に就職、経験を積んだのち2020年合同会社BERUBAH設立。人材事業を中心に多面的な事業展開を実践している。