[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

IT関連の幅広いサービスでより良い働き方と社会を実現

株式会社Story’s
CEO
佐藤健伍
SATO_KENGO

長らく人材不足が叫ばれているIT業界。DX化の拡大に伴い、今後ますますIT人材の需要が高まると予想されているが、解決の兆しは未だ見えない。そんな課題の解消に一手を打てる可能性を秘めているのが株式会社Story’sだ。同社はシステム開発、IT人材紹介、IT人材育成を中心に事業を行い、IT事業の効率化やIT人材の働きやすさを追求している。その根源には、CEOを務める佐藤健伍氏の豊富な実績と、IT業界の構造に対する懸念があった。

上流工程のシステムエンジニアを育成

会社員、フリーランスとして計15年に渡り、システムエンジニアとして活動し続けている佐藤氏。顧客のニーズを基に要件定義や設計を行い、予算を策定するといった開発初期の工程、いわゆる上流工程を主な業務としてきた。この上流工程の作業は、実務以外にも顧客とのコミュニケーション、下流工程のマネジメントまで含まれることから大きな責任を伴う。それゆえに給与面での待遇がよく、IT業界の特徴でも柔軟な働き方も選択できるのが特徴だ。

ただし、望めば誰もが就けるポジションではない。その仕事の性質から、顧客との折衝をできない下請け企業では得難いポジションであり、経験が少ない若手が就けるケースは多くはない。仮に上流工程の採用があったとしても、経験者が優遇されてしまうことから、下流工程でいくら経験を積んでもキャリアアップを図りづらいというのが現状だ。

「どれだけ優秀な人材であっても、最初に就職した企業次第では、キャリアが閉ざされてしまうということが残念で仕方ありません」と、佐藤氏は懸念を示す。そういった状況を打開するために始めたのが、上流工程のトレーニングと実務を積める育成カリキュラムだ。

BtoB向けのサービス開発にも注力

同社が開発を進めているサービスの1つに、この上流工程を円滑に進行するためのサポートツールがある。システム開発には、見積もり段階から納品時までさまざまなドキュメントの作成が必須。特に上流工程における要件定義書、基本設計書等の大枠となるドキュメントは重要であり、これに不備があると、その後の工程に大きな支障をきたしてしまう。

佐藤氏は多種多様な業界のシステム開発に携わってきた経験を生かし、各業界向けの上流工程におけるドキュメントのテンプレートを豊富に用意。これを活用できるのが、「Docdex」だ。システム開発における要件定義、基本設計、詳細設計、開発といった各工程ごとにChatGPTとの対話によるドキュメント作成やソースコード作成のサポートツール「GPTdex」の開発にも注力している。(C#しか経験のなかったエンジニアがAI財務相談サービスを1人で構築することにも成功している。)

1つのプログラミング言語しか学んでいないため、キャリア形成が狭まるというのは、システムエンジニアの中では珍しいことではない。企業側から見ても、優秀な人材と認めながら、業務上必要なプログラミング言語を実務レベルで習得していないという理由で採用を見送るのは損失につながるだろう。「これらのツールがあれば、作業の効率化、より良いキャリア形成、そして機会損失の防止ができるはずです」と自信をのぞかせる。

柔軟な働き方と開かれたキャリアの提供を目指して

働き方の見直しが迫られている昨今、同社の事業はIT業界への貢献につながると佐藤氏は考える。システムエンジニアは技術職であり、他の業種と比較してリモートでの作業が多いことが特徴だ。産休・育休明けや、子育て・介護で忙しい人でも活躍しやすい業種であり、働き方改革と、業界の人材不足の解消による長時間労働の是正を実現できる。「当社のサービスを通じてキャリアアップを実現できたり、希望する働き方を見つけられたりしたという話を聞けることは、私にとっても大きな喜びです。ひとつひとつの事例は世の中から見れば小さいことかもしれませんが、こういった積み重ねによって、IT業界だけでなく、日本全体を少しだけよくできるでしょう」と語る。

そして、「現在、AIの進化によって、優秀な人材以外は業界に残れなくなる可能性が指摘されています。だからこそ、上流工程を学ぶことで貴重な人材になる必要があります。またAIに反発するのではなく、『GPTdex』の活用のように、上手く付き合っていくことで、より可能性を広げることができるのではないでしょうか」と訴える。

「幼少期から優秀な人に囲まれ、コンプレックスを抱き続けながら生きてきました。会社員時代、同世代の友人・知人の目まぐるしい活躍を見て、焦燥感を抱いたことを覚えています」と話す佐藤氏は、挑戦心からフリーランスに転向。多くの失敗を繰り返しながらも、人々に支えられながらキャリアアップを実現。次第に周囲からキャリアについての相談を受けることが増えた。自身がコンプレックスを抱え、もがき続けてきたからこそ、似たような背景を持つ人の力になりたいと考えたという。そこで立ち上げたのが、株式会社Story’sだ。

「一人一人が自身の可能性を信じ、挑戦できる機会と場所を与える」を理念に据え、今後はITにまつわるサービスにとどまらず、SNS運用代行や副業紹介などを組み合わせ、各々にカスタマイズして提供するプロデュース業にも注力したいと言う。そして、「現在はアウトソーシングに頼っていますが、2024年以降は社員の採用を行い、資本を増資します。事業に関していえば、ITシステム開発で利益を出して事業を拡大しつつ、プロデュースをした人のうちの50人を1,000万円プレイヤーにすることを目標にしています」と抱負を述べた。

佐藤健伍

RECORD

株式会社Story’s
CEO佐藤健伍
1986年熊本県生まれ、千葉県育ち。慶應義塾大学卒業後、SIer企業に就職。システムエンジニアとして経験を積んだのち、退職しフリーランスに。2021年に3月に株式会社Story’sを創業し、CEOに就任。