[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

圧倒的な品質と世界基準の安全性でCPブランドを日本市場へ

CPF JAPAN株式会社
代表取締役・CEO
大西宣正
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「とにかく、基本に忠実であることが私のいちばんのポリシーです」。タイ最大手の食品企業「CPF(チャルーンポーカパンフーズ)」の日本法人「CPF JAPAN」の代表取締役・CEO、大西宣正氏は、ビジネスにおける自らの信条をそう明快に話す。

業務用から地道に種まき

CPFは、世界有数のアグリビジネス企業であるCPグループの中核企業で、特にタイや中国では圧倒的なブランド力を誇る。そのCPFの中国法人トップと大西代表が知り合ったのは、中国で大手コンビニエンスストアチェーンのビジネス展開を推進していたとき。「先方から、ぜひ一緒に仕事をしないかと誘われました。以前からCPFには興味があり、取り組んでいた仕事に目途が立った2008年に副総裁として入社しました。就任のあいさつでCPグループのタニン会長との面談の際、CPの日本ビジネスが苦戦しているので日本のビジネスも見てほしいと依頼され、CPF JAPANの代表も兼務することになったのです」と振り返る。
 CPF JAPANの最大のミッションは、日本でCPブランドを広げていくことにあった。「そのミッションが非常に難しい業界であることは十分理解していました。しかし、地道に種をまいていけば、必ず何らかの結果が出るのではないかと考え、チャレンジしようと思ったのです」と大西代表は話す。

当時、CPF JAPANは日本で冷凍食品を展開し、コンシューマー向けの販売に力を入れていた。ところが、CPブランドはまだ日本での知名度が高くなく、しかも広告費や販促費などもかかるためなかなか利益が出ていなかった。「そこで私が考えたのが、まず業務用で商品の良さを知ってもらって利益が出る基盤をつくり、そこからコンシューマー向けに展開してCPブランドの知名度を徐々に上げていこうという戦略でした」(大西代表)

飼料の種づくりから一括直営管理

そうした中、食肉専門の商社がCPFの商品に注目したことから、スーパーマーケットの精肉コーナーで業務用の商品を販売することができるようになった。さらに、問屋を通した販路も広がって、大西代表の狙い通り品質のよさへの理解は着実に浸透していった。「私のポリシーは、とにかく基本に忠実にやっていくということで、自分たちの商品の良さを信じて愚直に営業をし、ご要望にはお客様の目線で誠実に対応してきました」。こうして徐々に知名度を上げていき、2009年には、大手コンビニエンスストアのプライベートブランド(PB)に、同社の商品が2アイテム入るようになった。「これで、一般のお客様にもおいしさを認知していただく機会が増え、特に炭火焼き鳥は非常に好評で堅調に売れました。さらに、2010年には会員制量販店のコストコホールセールさんから声をかけていただき、1キロパックの鶏の竜田揚げやチキンナゲット、海老ワンタンスープなどを、CPのブランドで売らせていただくようになったのです」(大西代表)。

コストコホールセールに商品が並び好評を得たことは、さらなる販路の拡大につながった。大手スーパーマーケットから、自分のところにも1キロパックの商品を置きたいという声がかかったのである。「商品開発においては、おいしく、かつリーズナブルでリピートが来るというコンセプトを徹底して追求している自負がありましたので、評価をしていただいて非常にうれしかったです」(大西代表)。

また、商品力に関しては、CP自体が飼料の種づくりから、その飼料を使った養豚や養鶏、さらに加工・生産まで自社で一括直営管理する「フルインテグレーションシステム」を構築。「商品の鮮度や安心・安全に関してどこにも負けない体制でご提供でき、味も日本人においしいと思っていただけるよう試作を重ねて開発しています」と、大西代表は自信をうかがわせる。

特に安全性に関しては、グローバル企業として世界基準の高いレベルをいち早く取り入れ、「これから日本の畜産関係の方たちも『アニマルウェルフェア』というキーワードに直面することになると思います。これは、ヨーロッパを中心に、家畜に対して飢えや渇きからの自由、不快からの自由といった5つの自由を保障しなければならないというもので、たとえばEUでは狭いケージでの養鶏を禁止するようになってきています」(大西代表)。CPではこうした動きにすでに対応し、さらに中国での養豚事業では、次亜塩素酸を活用したシステムにより、アフリカ豚コレラの予防に画期的な成果をあげるなど、安全性への取り組みは常に業界の最先端をいっている。

CPF JAPAN自体のブランド力拡大を

 大西代表にCPF JAPANの今後の展望について聞くと、「これまでは鶏を中心に商品展開をしてきましたが、この4月にエビ事業部を立ち上げ、大々的に日本のマーケットに売り出していく計画です」と意欲をみせる。さらに、もう一つの柱として、日本の優れた商品を海外に売っていく計画だ。CPはグローバルな販売チャネルを構築しているのでそれを活用したい。まずは、タイでCPの流通チャネルを活用し日本の鮮魚や魚加工品を販売していく。また、中国ではCPチャネルの越境ECで日本商品の販売が進行中だという。

「そのためにも、CPF JAPAN自体のブランド力や会社としての規模も拡大し、より優れた人材が集まる会社にしていきたいと考えています」と力を込める。

大西宣正

RECORD

CPF JAPAN株式会社
代表取締役・CEO大西宣正
1961年2月10日生まれ。1991年、セブン-イレブン・ジャパン入社。2003年、セブン-イレブン北京で董事(とうじ)・副総経理。2008年、正大置地有限公司副総裁から、CPF JAPANで代表取締役社長兼CEOに就任。