[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

日本経済の下支えとなる中堅中小企業支援に力を注ぐ

バリュー・クエスト・パートナーズ株式会社
代表取締役
野口智史
NOGUCHI_TOMOFUMI

日本を拠点に活動する企業のうち、99.7%を占めるという中小企業。そのなかでも「中堅」とされる中小企業を対象に、プライベート・エクイティ投資やコンサルティングサービスを提供しているのがバリュー・クエスト・パートナーズ株式会社だ。同社は、日本経済の生産性向上に不可欠な中堅中小企業の強靭化を目標として掲げ、それによって企業価値の向上、経済発展を実現させ、より良い社会づくりに貢献しようとしている。この事業に対する思い、企業価値向上につなげる具体的なアプローチについて、野口智史代表取締役に語ってもらった。

自身の経験値から見えてきた日本経済活性化のカギ

米系投資銀行モルガン・スタンレーのNY本社でM&A業務に従事した経験を持つ野口氏は、当時特にアメリカにおけるファンド活用機会の多さ、巧みさに注目していた。翻って日本を見ると、大手企業においてごく一部のファンド機能が活用されるに留まっている。「もっと積極的なファンド活用がなされれば、日本経済の活性化につながるのではないか」、そんな考えは、その後経験を積むとともに確信に近くなっていった。

彼はのちに、日本にも中堅中小企業マーケットがあると知り、そこに自身の活動の場を移していくことになる。そして、大手企業と比べ人材獲得が難しい、少子高齢化による後継者不在の問題などといった、中堅中小企業ならではの課題は少なくないと見込む。また多くの企業オーナーとの対話から、そこに共通の悩みが存在することも見えてきた。そこから「企業価値向上のツボ」を掴み、ツボに対応する施策を整理すれば、より効果的な中堅中小企業支援が行えるのではとの期待を持つ。

野口氏は、中堅中小企業の成長というプラス要素が広範に波及していく好循環をも構築したいと考え、独立を決意。経験豊か、かつ人間的にも信頼できるメンバーとともに、バリュー・クエスト・パートナーズを設立させた。

ぶれないビジョンのもと、ハイクラスなアプローチを選択

中堅中小企業を支援するファンドやコンサルタントは多数存在するが、その多くは経営者の課題認識に応えるソリューションを提案するというスタイルだ。野口氏はそのスタイルに加え、上場企業に対しては一般的に行われているアプローチを、中堅中小企業に対しても導入。経営者との対話を通じて、経営者自身も気づいていない課題や会社の「潜在価値」を第三者目線で探り当て、課題解決、潜在価値の強化を推進していくこと(アナリストアプローチ)を自社の武器とした。この手法をプライベート・エクイティ業界に持ち込んだのは、バリュー・クエスト・パートナーズが初となる。

「何を」「どのように」ではなく、「なぜ(Why)」を最優先に物事を選択し、行動に移す姿勢「Why We Do」。自社が発展していくには当然利益の追求も行わなければならないが、経営課題を抱える中堅中小企業を支援することにより、企業の価値向上がなされれば、その一部が自社に還元されるという共存の中での繁栄を求める価値観「自他共栄」。この二つは同社のビジョンとして貫かれている。
野口氏は「この姿勢、価値観は、当社の存在する意味にもつながっていくと考えます」と力強く語った。

多面的に企業を見つめ、その発展に結びつけていく

バリュー・クエスト・パートナーズでは、投資前に実施される経営者からのヒアリングも重視するが、投資後になって初めて接触が可能となる現場の役職クラスへのインタビューも蔑ろにはしない。ここで吸い上げた、現場が持つ意識を組み込んで、企業全体としての課題を整理。そののち、いわゆる100日計画をスタートさせるといった独自のアプローチを実践していく。それにより、実質的に日本経済を支えている中堅中小企業の生産性や企業価値向上を成立させ、経済の活性化に結びつけていくのが自社に課せられた役割と野口氏は明言した。

日本経済全体を冷静に見つめつつ、少数精鋭で活動している同社は、自社の規模拡大を狙ってはいない。今後支援案件が増加するにつれ、メンバーをプラスすることは考慮に入れているが、それも中堅中小企業支援に対し、熱意を持った人材であることが条件だ。なぜこういった支援が必要なのかを理解し、ビジョンを共有できる人材でなければ、と語る野口氏の言葉は熱い。それは、自らの活動の中に大きな意義を見いだしているからこそだろう。

メンバーそれぞれの知見を生かして行動し、支援先企業の事業好転化を図る。それを確かな結果へとつなげることで、経営者だけでなく支援先の個々の社員までが自社の進化を享受する。そのような理想的サイクルを生み出すために、野口氏が今後もまい進していくだろうことは容易に想像される。

「『生産性が低い』と言われがちな中堅中小企業ですが、実際には日本経済の付加価値の約2/3を創出しています。現実を見れば、中堅中小企業がなければ日本経済は成り立たないと言えるでしょう」そう冷静に分析する野口氏は、だからこそ中堅中小企業の価値向上支援には意味があると訴えた。
設立時、中堅中小企業への支援方針や支援対象とする企業規模を明確にしたというバリュー・クエスト・パートナーズ。その軸は今もぶれることなく、事情の異なる個々の企業にしっかりと目を向けながら、最適と考えられる手法をもって企業支援を続けていく。

野口智史

RECORD

バリュー・クエスト・パートナーズ株式会社
代表取締役野口智史
2007年米国インディアナ大学卒業。ゴールドマン・サックス及びクレディ・スイスにて株式アナリスト、モルガン・スタンレー(東京、ニューヨーク)及びJPモルガンにてM&Aバンカーとして5年ずつ勤務した後、2017年より中堅中小企業向けプライベート・エクイティ投資を開始。2022年に独立。