「信頼・誠実」を意味する社名で、ウェブマーケティングのコンサルティングや研修、制作代行などを手がける「Earnestness」の西埜巧祐代表取締役。アルバイトから入った前職でインターネットマーケティング、ネットで商品を売ったり、集客をするセールスライティングを学んだ。前職では、世界一流のマーケティングを広めていく一方、数多くのセミナー講師も経験。今では、「一人一人顔の見える仕事をしたい」と、新たな一歩を踏み出した。マーケティングの力で、「健康」の分野での事業立ち上げにも取り組む西埜代表に、起業の思いとその先に見えるものを聞いた。


「信頼・誠実」を武器にウェブマーケティングで事業支援・事業立ち上げを


●震災が生んだ起業家精神
西埜代表は、高校生の時、部活動で交流のあった東北で大震災があったのを見て、「やりたかったことをやらない人生は損をするかもしれないなと感じた」と、図書館で本を読みあさったという。そこで、「お金を動かして人生を幸福に過ごすための哲学が必要」と説くベストセラー「金持ち父さん 貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ著)を読んで、起業家精神が生まれたと振り返る。大学に進学し、マーケティングを学ぶ必要を感じて、さまざまなセミナーに参加する中で、前職の出版社の幹部に出会った。「マーケティングを勉強したいと話したら、『それなら働いてみないか』と誘われた」という。
アルバイトとして働くようになったが、そこは一般的な出版社とは違った。「洋書を売るんですが、書店に置くのではなく、ネットで売っていく。ただ売るだけではなくて、本の内容を身につけるためにセミナーやワークショップ、コンサルティングなどを行う。本を入り口にして、そうしたものを売っていくビジネスでした」と語る。
「面白くて、就職活動もできなかった」と西埜代表は同社にそのまま就職した。「世界でも一流のクライアントと仕事ができた。出版社といってもセールスライティングなどのウェブマーケティングはすごく強くて、広告代理店が学びに来るほどだった」と振り返る。
●「狭く、深く」と独立を決意
その出版社で約10年間鍛えられた西埜代表だが、ある思いを抱く。「セミナーというと100人以上参加する。でも顔が分かる少人数の人に対して、狭く深くやれた方が、その後の結果も見えるし、サポートもできるので、そこに意義を感じるようになった」と独立を決意した。
起業した西埜代表は、コンサルティングと研修、広告・プロモーション代行を手がける。「インターネットマーケティングでは、文章の書き方一つで売り上げが倍になることもあるので、そうしたアドバイスをします。また。年商5億円ぐらいの会社だと社長が1人でガンガン働いて売り上げを上げているっていうケースが非常に多いので、仕事を取ってきてその仕事をこなすのも自分で、集客もやる。それではどうしても売り上げが頭打ちするので、研修で人材を育成しています」という。
コンサルや研修でクライアント自身が実践していくのが理想と語るが、自社ではどうしてもできないというクライアント向けに、広告・プロモーションの制作代行を提供する。「全くWebやネット・SNSがわからない。そんな状態でも、ネット集客やネットで売上をあげられるよう、支援することはできます」と自信を見せる。だが、西埜代表は限界も感じていた。そこで「単なるコンサルティングではなく、いいものを広めることで貢献できないか」と事業の立ち上げに取り組むようになった。




●起業したから挑戦できた「健康」事業
そんな西埜代表が目を付けた分野が「健康」だ。「健康に対しての意識は上がっていて、富裕層も健康に関する投資は惜しまない。今求められてるジャンルで、まだまだできることがあると思う。何より自分が好きな分野ですから」と語る。健康に関心を持ったのは、「社会人になってからすぐに体調を崩すようになって、3カ月に1回はかぜを引いていた。そこでスムージーや糖質制限、漢方などあらゆることを試して、徐々に健康になっていったことがきっかけ」と明かす。
その足がかりとして、セラピストやエステティシャン向けに、睡眠改善のメソッドを教えたり、リンパ・解毒の方法を教えたりという事業からスタートしている。「本当は医師と取り組もうと思ったのですが、やりたいことの一致が難しかった。エステなどであれば、健康への意識が高い人たちが1万人ぐらいは集められる。集客ができれば、オリジナルのサプリを作るなど実績が作れる。実績があれば、一緒にやる医師も出てきて、雪だるま式に増える。売り上げがあれば、その事業にもっと投資をして新規獲得していく。そうした種を作っていきたい」と先を見据える。そして、「こうした何かしらマーケットがあるところに手をつけていきたい。起業したからできる場所というところですね」と笑顔を見せた。
西埜代表は「信頼、誠実」を意味する「Earnestness」に社名を決める時、かなり悩んだという。「10年間会社に勤めて、セミナーなどで約1000人を相手にしてきたんですが、その時に私の印象を聞くと、ほぼ全員が『誠実、信頼』だと言われました。『株式会社西埜巧祐』にする勇気はないので、『誠実、信頼』の英語である『Earnestness』に決めました」と語る。誠実と信頼、そして数多くのクライアントに成果を上げてきた実績を武器に、西埜代表は新たな事業にチャレンジしていく。