[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

SNS運用で確固たる地位を築き、いつか故郷に恩返ししたい

株式会社Alits
代表取締役
宮田
MIYATA_KAI

株式会社AlitsはSNS運用代行事業をメインとする、新進気鋭のベンチャー企業だ。2023年の創業以来、toC向けにTikTokやYouTubeのショート動画などを一気通貫で作成しており、設立1期目で年商1億円を突破。さらにSNS運用ノウハウを活かして新規事業の展開も計画中だ。勢いに乗る同社の代表取締役、宮田魁氏が掲げる目標が「設立6期目で年商100億円」。その先には、故郷の長野県・白馬村への想いがあった。

SNSの可能性を感じ、25歳で会社設立

宮田氏は白馬村の中学卒業後、千葉県のサッカー強豪校に入学する。寮生活で部屋にテレビはなく、スマホの使用も制限されたため、サッカー一筋の日々を送った。その後は都内の大学に入ると、同級生たちの日常生活に、SNSが必要不可欠となっていることを実感したという。宮田氏は「テレビやスマホに触れない生活をしていた分、厳しい寮生活とのギャップに驚きました。友達があまりテレビを見ていなかったり、SNSを使いこなしていたりする様子を見て、時代が移り変わったんだと思いましたね」と振り返る。

SNSの可能性を感じた宮田氏は、都内のSNSマーケティング会社に入社。マーケターとしてすぐに頭角を現した。作成した動画が営業所内で1番の再生数を記録するようになり、売上も同僚の10倍近い金額に。「スーパーエリートのような感覚だった」と宮田氏本人も語るように、営業成績トップとして活躍する一方、数字だけを追い求める風潮に違和感を覚え始めたという。「売上が大事なことはわかっていますが、それと同じくらいお客様の満足度も大事にしたいと思うようになり、独立を考えました」と話す宮田氏は、入社から1年経った25歳のときに同社を立ち上げた。

さらなる成長のため、toB領域に挑戦

立ち上げ当初からの想いは今も続いている。宮田氏は「スタッフによく伝えているのが、お客様ファーストの精神の大切さです。お客様がSNSを使う目的を丁寧にヒアリングし、親身になって寄り添い、信頼関係を築いてもらっています」と力説する。宮田氏のSNS運用ノウハウ、会社全体の顧客への手厚いサポート体制が奏功し、現在はスタッフ約30名が月1500〜2000本のTikTokやYouTubeのショート動画などを作成。年商は設立1期目で1億円を突破した。

順調な道を歩んでいるように見える同社だが、設立当初は、創業から日が浅い企業ならではの信用力の低さに悩んだという。「上場企業の案件を紹介されましたが、紹介案件なのに断られたことがありました。無償でもいいので私たちのサービスを一度提供できれば、きっと良さを理解してもらえるはずなのに…というもどかしさがありました」と話す宮田氏。今後は同社のさらなる認知度向上のため、これまでのtoCにとどまらず、toBにも力を入れていく予定だ。

がむしゃらに「6期100億」へ

若くして起業し、苦労しながらも着実に会社の業績を伸ばしてきた宮田氏。原動力となっているのは「設立6期目で年商100億円」という目標だ。「T2D3」をもとに1期目1.6億、6期目で100億という目標を立てた。売上額が前年を基準に毎年3倍、3倍、2倍、2倍、2倍と上昇していく成長指標を指す。そのため決して根拠がない金額ではないが、当初は「無謀な夢だな」と思ったという宮田氏。それでも「スタッフも会社も成長できる、いい目標だと今は思っています。実際がむしゃらにやっていたら、いつの間にか目標の数字に近付いてきています」と自信を見せる。

「6期100億」を達成するために、今後注力していくのが新規事業の展開だ。2024年は人材紹介事業、飲食事業を立ち上げ、2025年6月から不用品の買取・リユースを手がける企業のFCに加盟。中国物販事業もスタートさせた。これまでのSNS運用のノウハウを活かして店舗の集客につなげ、100億円のうちの30億円の売上を目指す。宮田氏は「もし既存事業が立ち行かなくなったとしても、会社として成長し続けるために、年に2つ程度は新規事業を展開したい」と説明する。

高い目標を掲げ続ける理由の一つに、故郷への想いがある。宮田氏が生まれ育った白馬村は現在、外国人に人気の観光地となっている。経済が潤う一方で、物価や家賃が上昇し、地元住民が転出するといった事態も起き「第二のニセコ」と呼ばれつつある。宮田氏は「昔から白馬村に住んでいた人が、肩身を狭くして過ごしている状況が心苦しいです。外資系ホテルの進出などが増えていますが、白馬村出身の若い自分だからこそできる社会貢献があるはず」と意気込む。また、地方ならではの買い物や医療へのアクセスの悪さも指摘。宮田氏は「白馬村に住んでいた、今は亡き私の祖母は、車で1時間かけて通院していました。スーパーも車でしか行けない場所にあります。もし6期100億を達成したら、老後の買い物や通院手段のサービスを無償で提供したいです」と語る。

忙しい合間を縫って定期的に帰省するという宮田氏は「しんどいときに帰ると本当に癒やされますね。白馬村から東京に車で戻る途中、高速道路に入ったあたりで、たくさんの高層ビルが見えるんです。そのタイミングが一番、戦う気持ちになります。大都会東京でやってやるぞ、みたいな」。地元を愛する若き経営者の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

宮田魁

RECORD

株式会社Alits
代表取締役宮田魁
1998年3月生まれ。長野県・白馬村出身。建設人材紹介の所長を経て、SNSマーケティング会社に入社。2023年、株式会社Alitsを創業。