[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

「より良いものを後世に残す」を信念に
PHIピラティスで健康寿命の延伸に貢献

株式会社CODE7
代表取締役
桑原匠司
Kuwabara_Shoji

スポーツにおけるトラブル解消を求めて

日常生活の中で慢性的に起き、「またか」と憂うつになる肩や腰や膝の痛み。「その原因として意識していただきたいのが普段の体の使い方と姿勢です。それらを整えることで体がスムーズに動くようになり、痛みの改善や精神的な負担の軽減につながっていくのです」そう話すのは、日本とアジアでPHIピラティスの普及とインストラクター養成に取り組んでいる、CODE7代表取締役の桑原匠司氏だ。

ピラティスと聞くと、SNS映えするエクササイズを思い浮かべる人も多いかも知れないが、ピラティスにはさまざまな流派があり、PHIピラティスは人々の心身の健康にフォーカスしたものだ。ピラティス自体は約100年前にドイツ人が開発したエクササイズであり、桑原代表は「PHIピラティスは、米国の大学教授で理学療法士でもある創始者のクリスティン・ロマニ・ルビィ氏が、そこに運動療法を融合させて確立したもの。人々の健康や機能改善、ケガの予防・回復などを目指すものです」と紹介する。

高校時代、陸上競技に打ち込みながらケガに泣かされることの多かった桑原代表は、米国にそうした競技者をサポートするトレーナーの仕事があることを知り、当時その資格は日本にはなかったため単身渡米。「大学に入り、毎日の勉強はもちろん4年間で2400時間の実習をこなしました」という努力が実り資格を取得し、メジャーリーグのシカゴ・ホワイトソックス傘下のトレーナーに就任したのである。「ホワイトソックスは非常にケガ人が少ない球団で、そこでどうしたらケガを防げるのか、ケガの回復には何がいいのか、そして人のパフォーマンスを上げるには何がいいのか探し求めた結果、答えはPHIピラティスだったのです」。

PHIピラティスの大きな特徴は、一人一人異なる骨格や筋肉の使い方、姿勢などを見極め、個々に適したアドバイスやエクササイズによって体の機能改善や健康増進を目指している点だ。桑原代表は日本に帰国して医療系やスポーツ系の専門学校で講師を務めたあとCODE7を設立。PHIピラティスを実践するとすぐに評判となり「あっという間に予約の取りにくいパーソナルトレーナーとなりました。しかし、どんなに頑張っても自分で対応できるのは1日に10人が限度。それなら、自分の知識や技術を伝えてPHIピラティスが実践できるインストラクターを養成し、より多くの人の健康増進や機能改善に貢献しようと考え普及活動に取り組むようになりました」。

優秀な人材を輩出し、人々の健康に貢献

現在では、北海道から沖縄まで全国の都道府県に約4500人を超えるPHIピラティスインストラクターを養成し、近年は毎年500人規模で増えている。加えて、そうしたインストラクターを養成できるマスタートレーナーも育て、まだ40人と数は少ないが着実に増えてきている。その背景には「より良いものを後世に残す」という桑原代表の信念ともいえる考えがあり、人を育てることを非常に大切にしている。このため、インストラクターには2年に1回の更新制度を設け、常に最新のエビデンスを学びレベルアップを目指してもらっている。
またCODE7が養成しているインストラクターの特徴として、すでに鍼灸師や理学療法士などの資格を持ち、医療の現場等で活躍している人が約3割もいることがある。「非常に向上心の高い人たちがここで学び、新たな知識や技術を身につけ社会に役立ててくれています」。

新たな取り組みもあり、CODE7ではさらなる学習にも活用できるアプリケーションを開発しリリースしている。インストラクターを目指す人の中には、すでに専門学校や大学でPHIピラティスに役立つ技術や知識を学んでいる人もいるが、一般のビジネスパーソンや主婦などもいることから、「そうした皆さんが、このアプリを使って機能解剖学などに関する問題を解き知識を深めることができるもの。AIがその人が間違いやすい問題を繰り返し出題してくれるので、知らず知らずに不得意な問題も解けるようになります」と話す。

こうしてPHIピラティスの普及に取り組んでいる桑原代表は、現在の課題としてピラティスには多くの流派があり、その流派によっては知識や技術の習得レベルが低くとも簡便にライセンスが取得できることがあると指摘。そのために、一人一人に適した指導がなされなかったり、ケガにつながったりすることを危惧している。「ですから、インストラクターが筋肉や骨の構造を正しく学んだ上で運動指導が行えるピラティスの普及が大事で、他の流派の人がPHIピラティスを学んでいただける機会づくりにも努めていきたいです」と力を込める。

そんな桑原代表の願いは、PHIピラティスによって多くの人々の健康寿命の延伸に貢献することだ。そのためには、パーソナルトレーニングにより個々に適した指導することが重要で、「姿勢や体の使い方が整い、呼吸法も良くなって脳や体に酸素が取り入れられ、QOL(生活の質)が上がれば、結果として健康寿命の延伸につながっていきます」と熱く語る。

社会貢献

PHIピラティスの普及で健康寿命の延伸を目指すこと自体が人々への大きな貢献であり、さらに、医療費削減につながれば社会の負担を軽減することにもなる。また桑原代表は、心身ともに日々頑張っているビジネスパーソンには、自分の体に感謝することを常に意識してほしいと話す。それはストレスの軽減にもつながるものだとして、そうした健康に関する話を伝えることでも多くの人に貢献していきたいと思いを込める。

桑原匠司

RECORD

株式会社CODE7
代表取締役桑原匠司
島根県吉賀町生まれ。米国カリフォルニア大学ペンシルベニア校大学院卒。2011年より株式会社CODE7を設立・代表取締役に就任。PHIピラティスを普及するためにインストラクター教育を始め、現在では全国の都道府県に約4,500名を超えるPHIピラティスインストラクターを養成。