セカンドアカデミーの主な事業は、予防医学アカデミーとマネーアカデミーの2つ。それぞれ予防医学に関する情報と、資産運用を中心としたお金に関する情報を提供しており、特に力を入れているのがマネーアカデミーである。約3ヶ月にわたって、1回約2時間のセミナーを5回開催。一般的なマネースクールと違う点は、「学校では教えてくれなかった大切なことを学び、人生を豊かにするための“大人の教養”を勉強する場としてつくった」と、代表取締役の黒田光弘氏が話してくれた。
つまり大人になってから学ぶという意味で、“セカンド”と名付けた。マネーアカデミーの内容は大きく2つあり、ひとつは黒田氏自身の経験や膨大なデータに基づく資産運用に関する知識とスキルの伝授。もうひとつは、“お金を使う力=お金力”をアップさせること。「例えば、家は皆が持っているから買うという人がとても多い。しかし、家が本当に必要かどうかは人によって違うはず。また海外旅行はよいものと捉えがちだが、なかには海外旅行へ行っても面白く感じない人もいる」と、自身の価値観に向き合うことを提唱。そして、お金をどう使えば豊かになれるのかという“お金力”を鍛えることが大事だと説く。
こうした黒田氏の教えは資産運用のスタンスにも表れている。例えばアメリカの個別株について、勧める人がいる一方でやめた方がいいと警告する人もいる。「その場合、なぜ勧めるのか、なぜやめた方がいいのか、それぞれの立場から真意を説明すると自分の価値観で是非を判断できるようになる」と、本やウェブサイトだけでは習得できない強みをアピールする。


大人こそお金や健康について学ぶことで人生を豊かにできる


●“大人の教養”を身につけるセミナー
●顧客ファーストのサポート体制
マネーアカデミーのキーワードとなっているのは、お金よりも価値観だ。お金に加えて人間関係、健康の3つにおいて、自分自身の価値観を再確認していく。人間関係については主にコミュニケーションを円滑するための内容になる。「日本人同士だと、何となく皆同じ感覚を持っていると思ってしまうが、実は人によってまったく異なる。“頑張っているね”と言われることが嬉しいと感じる人もいれば、“だから何なの?”と腑に落ちない人もいる」と、この違いに気付けるかどうかが良好な人間関係を構築していくポイントになるという。
マネーアカデミーならではの強みとして挙げられるのは顧客目線のサポート体制だろう。セミナーは質問しやすい環境をつくるために少人数で開催(現在はコロナ禍のためオンライン)し、期間中は黒田氏とマンツーマンで話すことのできる面談を3回まで受けることができる。全5回のセミナーを終えた後は、5回分の動画を含め、黒田氏による資産運用や税金、保険などについて話した約200本の動画をいつでも何回でも閲覧可能。そして、「マネーアカデミーがなくなるまで、半永久的にチャットツールで質問や相談ができるチャットサービスも用意している」と、セミナー終了後も手厚くサポート。さらに、LINEによる無料のメルマガでも有益な情報を発信している。




●お金の問題を解決して健康になる
前述の通り、マネーアカデミーでは健康についても取り上げているが、それはマネーアカデミーが予防医学アカデミーから発展して生まれたものだからだ。
板前時代に手取りの月給が13万円だった黒田氏は、よりよい待遇を求めて4年制の専門学校に入り直し、管理栄養士の国家資格を取得。卒業後は病院食をつくる給食センターに就職したが、手取りの月給は16万円と大きくは変わらなかった。「そのときに本屋で手にした書籍が『金持ち父さん貧乏父さん』。お金の勉強を真剣にしないといけないと思った」と、当時を振り返る。
働きながらお金の勉強をした黒田氏は、1年後に中古の戸建住宅を購入し不動産投資を開始。その後、2軒目のシェアハウスを購入すると、2軒分の家賃収入を得ることで、将来に対するお金の不安は雲散霧消となった。「すると管理栄養士の資格やキャリアを生かした働き方ができないかと意欲が出てきた」と、大きな病院に転職し、本業に関わる栄養学や健康について猛勉強を始めた。やがてブログで予防医学に関する情報を発信するまでのめり込むようになる。
ところが、「勉強すればするほど病院でできることは限られている」ことに気付かされた。健康によいという理由で新しい献立を考えても1食当たりの予算には限りがある。新しい取り組みを提案しても、大きな組織だと稟議がなかなか通らない。「それなら独立して、予防医学に関する情報を発信するという働き方もありかもしれない」と、当時そのような活動でビジネスを展開していた知人の存在も独立を後押しした。
そして、2017年に予防医学アカデミーを設立。管理栄養士の見地から、一般の人が知らない健康に関するさまざまな情報を提供。ところが顧客の健康相談に乗るうちに別の問題が浮上してきた。「栄養価の高い野菜を勧めても高価だから買えないといった経済的な問題。そこで思い出したのが、過去に私が学んだお金の勉強だった。富裕層はみんな健康に投資しているから、お金の問題を解決すれば健康にお金をかけられる人が増えるのではないか」と思ったという。
こうして誕生したのがマネーアカデミーだ。資産運用だけをテーマにしているわけではなく、お金、人間関係、健康という3つに関する教養を身につけてもらうことを目的としている。「大人になってから学ぶことの方が大事。しかし、多くの人は大人になると勉強することをやめてしまう。だから大人こそ、自身の人生を豊かにするために勉強してほしいし、自身が豊かになれば身につけた価値観は自然と子どもにも伝承される」と、勉強することの大切さを訴え続ける。
現在は「世の中を構成しているのは多くの人々。だから、それぞれの人生がよくなることが社会貢献にも繋がるのではないか」と、社会全体を見据えたビジョンを掲げる。そして、「サポートの質を重視したいため、会員数の急激な増加は望んでいない」と、中長期にわたって、豊かになったと感じる人を少しずつ増やしていくことを目標としている。