[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

“ブレークスルー”の精神で業務改善と脳卒中医療の発展を

脳神経外科東横浜病院
理事長
水泳
KAKU_SUIEI

ベストな治療で後遺症を防ぐ

脳卒中には、脳の血管が破れるくも膜下出血と脳出血、血管が詰まる脳梗塞があり、医療の進歩によって高い確率で救命できるようになった。発症すると麻痺や言語障害などの後遺症を引き起こすことも多い。郭理事長はこうした脳疾患に対し、「脳に十分な酸素を行きわたらせる『高気圧酸素治療』と、頭を切らない『カテーテル治療』の両方を施すことで、後遺症が残る確率を下げることができる」と話す。

「脳へのダメージを遅らせるには高気圧酸素治療が最も効果的ですが、高気圧酸素治療は、過去に爆発事故が起こったこともあり、敬遠されがちな治療法でもあります。責任者が居ないために大きな病院はほとんど取り入れていません」と指摘する郭理事長は、患者にとってベストな治療法であれば採用することもいとわない。

また、郭理事長は「一刻を争っているときに頭を切っていては間に合いません。足の付け根から管(カテーテル)を通して詰まった血栓を素早く取るのが効果的です。薬や点滴では根本的な解決にはなりません」という。

脳神経外科に特化した救急病院

郭理事長は「脳卒中は“進化の報い”。医療が進歩し、食事の栄養価も高くなることで、世の中は高齢化が進み、必然的に脳卒中になる人は増加します。年を取れば取るほど脳卒中は身近な存在になっていきます。脳卒中という誰しもがかかる可能性のある突然の病を、恐れなくてもよいものにしていきたい。後遺症への不安を払拭したい。脳神経外科に特化した救急病院として、チーム一丸となって最も先端的な医療の確立を目指しています」と語る。

同病院では、2021年度の救急車の受け入れで断り皆無と前年度比130%の受け入れ数増加を掲げている。数多くの若手医師を養成する専門的な教育の確立も実施しており、脳卒中医療の未来を担う世代へとバトンをつなごうとしている。郭理事長は「最先端医療の実現、若い医師の養成、そして救急患者の受け入れ拡大。これこそが社会貢献だと確信している」力を込めた。

「考える時間」をつくる

一方で、経営者としてIT技術を活用した医療現場の業務改善にも尽力している郭理事長。医師の病状説明をリアルタイムで要約文にする医療支援システム「リアル・トーク・メーター」を院内からベンチャー企業を設立して開発した。医師が説明した音声を自動で文字起こしして、即座に要約文を作成してタブレットで示すことができる。「医師の多くの業務は病状説明と記録業務で、このシステムを使えば医師の負担を減らすことができます。そして患者と医師の認識の違いを減らせれば、医療訴訟を未然に防げる」と説明する。

さまざまなアイデアや技術革新で、脳神経外科医療の最先端を歩んできた郭理事長のモットーは「Think about(~について考える)」だ。あえて空白の時間をもうけ、心に余裕を持つことで「考える時間」をつくることがアイデアを生み出す秘訣だという。「業務改善システムを開発したのも、医師や看護師に“余裕”と“考える時間”を持ってもらうため。医療業界において人材は宝です。彼らが笑顔で働き、高いモチベーションを維持できる環境を整えることが、経営者の役目なのではないでしょうか」と語る。

「これからは若い世代が活躍する時代」という郭理事長は「チャレンジは若い人の特権。環境が悪いから活躍できない、指示されたことしかこなさない、そのようにあきらめてしまっていては何も変わりません。チャレンジすることで道は開ける。若い人は働く環境に慣れるのではなく、それを変えてやろうという精神を持つことが大切。現状を破壊した先に、新しいものが見えてくる『ブレークスルー』が大事です」とメッセージを送っている。

郭水泳

RECORD

脳神経外科東横浜病院
理事長郭水泳

1966年広島大学卒。68年医師国家試験後、東京大学脳神経外科入局。72年米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校に1年間留学し、スウェーデン・カロリンスカ大学神経放射線科に短期留学。73年福島県会津中央病院脳神経外科勤務、76年に会津脳卒中センターを開設し、日本初の全身用CTデルタスキャンを導入。86年のう救会 脳神経外科東横浜病院開設。著書に「アイディア想起メガネ」(幻冬舎)「君はまだ忘却の女神と仲良くしているのか?」(幻冬舎)「救える脳を救いたい」(みずほ出版)