日々生活する中で、目に飛び込んでくるさまざまな広告。数多ある商品の中から消費者の関心を引くため、派手に効果をうたっているものも見られる。薬機法など、定められたルールはあるものの、広告を見て「これって本当なの?」と思ったことがある人もいるのではないだろうか。「売上向上のために尖らせた広告を配信する」という考えに疑問を抱き、クリーンな広告作りを手掛けるスイミー株式会社。薬機法遵守の団体認証マークを取得しコスメ・健康食品の広告管理者全てに薬機法資格の取得を義務付けるなど、徹底したこだわりを見せている会社だ。同社の代表を務める伊澤祐太氏に、会社設立の経緯と今後の展望について聞いた。


公明正大な意義を掲げ、クリーンな広告業を牽引する


●起業を目指して辿り着いた広告業界
現在、インターネット広告代理店スイミー株式会社の代表を務める伊澤氏。そのキャリアのスタートは、広告代理店ではない。
新卒入社したのはサービス業。しかし、役職が上がるにつれ、会社の経営方針とのずれを感じ、退社を決める。自身が賛同していない方針を、部下に強いることが出来なかった。
「じゃあ自分で会社を作っちゃおうと、起業を決意し行動したのですが、相談した相手に騙されそうになり、一時断念。その後、新卒時代の同期から、広告代理店の新規部署の立ち上げに誘われました」
ここでようやく辿り着いたのが広告代理店だった。「同期から取締役を紹介してもらい話を聞くと、その会社はグループ内での積極的な子会社化を目指していました。将来的に起業を考えていた私は、子会社のトップを狙いたいと宣言し、入社を決めました」と伊澤氏は振り返る。
●公明正大な意義を持つ組織作り、広告作りを手掛けたい
立ち上げた部署は、まだ業界内でも珍しい記事広告の運用部署であった。成果を出し始めるにつれ、記事広告の需要は増加。同業他社の参入も増えていった。その結果、記事広告は尖りを見せていく。
「当時は今ほど法律が厳しくなく、作り手側もルールに無知なところがあり、グレーな広告が横行していました。その中で、クリーンなものを手掛けたいと葛藤するようになったのです」
葛藤する中でやりたいものが見えたと語る伊澤氏は、独立を決める。その後、掲げたビジョンは「より良いものを拡げようとしているクライアントへ貢献する」だ。しかし、事業を軌道に乗せるまでには相当の苦労があった。
「方針を完全に振り切ったので半年間赤字が続き、非常に不安でしたね。ただ、私たちの掲げる方針は公明正大な意義があるものだと信じていたので、腕を磨いて戦い続ければ必ず勝てると疑いませんでした。昔から王道少年漫画が大好きなんです。大切なことは真の意味で負けないことで、それは会社においては諦めずに戦い続けることと捉えています」




●より良い社会の実現を目指し、活動範囲を広げていく
不安の消えない半年が過ぎ、会社は無事に黒字転換。その後は、順調に右肩上がりの成長を続けている。ただ、一度も安堵したことはない。常に「いつ転ぶか分からない」と考え、策を練っている。
また、「今後は健康を軸とした社会貢献にも力を入れていく」と伊澤氏はいう。2019年、ブライダルエステで健康に詳しい人と出会ったことを機に、自身も健康オタクになったという伊澤氏。
「健康的な食事や生活を心がけることで、私自身がはっきりと身体や精神的な変化を感じました。そして、それまでが逆に極端に不摂生だったこともありますが、見違えるように日々のパフォーマンスも上がりました。こうした経験から、健康に関わる事柄は人々の大きな力になり、何よりもの社会貢献の一つにも繋がるという強い確信を得ました。」
また、代理業として扱ってきた商材も健康に関わるものが多いということで、健康を軸に活動範囲を広げていくことに運命を感じたという。
「そもそも全ての会社の存在意義は、社会貢献をする為だと思います。広告の社会問題もそうですが、健康に関わる社会問題にも積極的に取り組み、心の底から社会貢献をしていると胸を張れる仕事をしていきたいですね」伊澤氏の挑戦は続く。
社名の「スイミー」に聞き馴染みのある人は多いだろう。想像どおり、小さな魚たちが登場する、あの有名な物語「スイミー」が名の由来だ。会社のスローガンとして「みんなちがって、みんないい」と掲げてる。そして、フラットな関係性を持つティール組織に好感を抱き、心理的安全性やホールネスを軸に組織運営をしている伊澤氏。メンバーには元社長や個人事業主が多く、彼らの異能を開花させられる組織を目指しているのだという。「広告業は人数を増やせばクライアントへ貢献できるという訳ではありません。個々の強みを発揮できる環境を整えることで、異能が開花し、結果的にクライアントへ貢献できると思っています」と伊澤氏。
自分の信じるクリーンなこと、正しいこと。それらをやり続けることを諦めない。そうすれば理解してくれる人は必ずやってくるはず。「子どもの頃から、正義感が強すぎて浮くことがあったのです」と笑う伊澤氏は、これからも自分の正しいと思う道をひたすら歩み続けていくのだろう。