[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

自分や周囲が笑顔でいられる環境をつくり続けたい

株式会社ディバイン
代表取締役
伊藤欣央
ITO_YOSHIO

高校時代に始めたガソリンスタンドでのアルバイトを機に、社会で認められること、誰かに喜んでもらえることに喜びを見いだした株式会社ディバインの代表、伊藤氏。高校を中退して仕事に専念する道を選び、20歳で友人と会社を設立。その後「自分の手の届く範囲で事業をしたい」との思いで、再び起業したのがディバインだ。自動車事業部の他、サロン事業部も手掛け、2023年には電気工事事業も新たに始める。伊藤氏がさまざまな事業に取り組む理由と見据える未来について聞いた。

お客様からの「ありがとう」が体内で弾けた

伊藤氏が経営するディバインは、自動車事業から始まった会社だ。新車、中古車の販売とメンテナンスが主な事業内容で、知り合いやお客様からの紹介がほとんどだという。

「一人一人のお客様を大切にするためにも、あまり積極的に新規のお客様をこちらから増やそうとは思っていないんですよ。『伊藤さんから買いたい』と言ってくださるお客様とのご縁を大切にしています」

当社を立ち上げたのは、20歳で友人と立ち上げた会社が大きくなったことに疲れてしまったのがきっかけだった。伊藤氏の原点には、高校時代に始めたガソリンスタンドでのアルバイト経験があるという。お客様から初めて「ありがとう」をもらったとき、身体の中で何かが弾けたような気がしたと振り返る伊藤氏。大きな会社ではこうしたやり取りが難しかったことから、手の届く範囲でやりたいと同社を設立したという。

伊藤氏が意識しているのは、プラスアルファへの気配りだ。自動車の販売に付随してくるやるべきことも、代行できるものであれば先んじてやっておく。結果、お客様からは「安心感がある」「やり取りが心地いい」「全部やってくれるから、お任せできる」といった評価を得ている。

興味とご縁がつながり、農業の世界へ

同社は自動車事業だけを手掛けているわけではない。今あるのはサロン事業部。2023年には新しく電気工事事業を始動する。また、現時点では事業化されていないが、2020年から2年ほど農業に携わっていたこともある。

伊藤氏が農業に取り組んだのは、自動車販売のような仲介業ではなく、自分で何かを作って届けられる事業ができないかと考えたのがきっかけだった。

「農業に行き着くにはいくつかのきっかけがありました。まずは、雑草の生えていない公園には除草剤がまかれていることを知り、子どもたちが安心して草や土に触れられる場所をつくりたいと思うようになったこと。2020年7月、過去にお客様として関わったことのあるご夫婦と再会し、彼らが無農薬栽培に挑戦していると聞いたこと。これらのきっかけがつながり、ご夫婦の元を訪れたのです」

全国各地で2年間農業に携わった伊藤氏は野菜づくりだけではなく、場づくりにも取り組んだ。一旦区切りを付けたが、いずれまた取り組む予定だという。

サロンは女性社員が「夢だった」と話しているのを知り、「やってみなよ」と事業部化したもの。電気工事も同じような経緯で始めることになった事業だ。

自分や周囲が笑顔でいられる環境をつくり続けたい

新たに始める電気工事事業は、個人事業主の代表で「大きな仕事を得る事ができるが一人では不安なんです」と聞き、「挑戦してみようよ」と法人を別に立ち上げて取り組むものだという。

「電気工事士の彼、自動車整備に長けている人、そして自動車事業を手掛けてきた私。この3人で、いずれは再び農業体験やSDGsを体験から学べる環境づくりに挑戦したいと話をしています。そのためには資金も必要ですから、今はその準備期間です」と語る。

ディバインでは人材募集をかけたことがない。顧客同様、紹介や縁がきっかけで働き手に出会っているという。

「ガソリンスタンドでのアルバイト時代から心にあるのは、自分や周りの人が喜べる自分の社会をつくりたいという思いです。手の届く人には、どうか笑顔でいてほしい。そうすれば、私も笑顔になれますから。そうした思いから、サロンにも『EGAO』と名付けました。これまでも自分で選んだ道を生きてきましたし、これからもそのスタンスは変わりません。笑顔をたくさん増やせる生き方を選んでいきたいです」

自動車事業とかけ離れた「農業」「サロン」というキーワード。単語だけを並べると、一体何をやっているのか不思議に思う人もいるだろう。その根底にあるのは、ガソリンスタンドでのアルバイト時代に初めてもらった「ありがとう」への喜びから生まれた、「社会で結果を出したい、自分や周りが喜べる社会をつくりたい」という目標だ。

ディバインを成長させるだけではなく、自分の元に集う若者を、彼らがやりたいことで社長にしたいと語った伊藤氏。その皮切りが、新たに法人を立ち上げて取り組む電気工事事業となる。新事業の先には、電気工事士と共通して見据える「SDGsを体験から学べる環境づくり」への思いがある。

「漠然と夢を見るのではなく、夢を目標にし、逆算してかなえるためのルートを歩むようにしている」と語ってくれた伊藤氏。場づくりには資金がいる。だから、まずは目の前の事業に懸命に取り組むのだ。自分や周囲の人たちが笑顔でいられる環境づくりを大切に、今後も伊藤氏の挑戦は続く。

伊藤欣央

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株式会社ディバイン
代表取締役伊藤欣央
1975年11月7日生まれ。20歳のころに独立し、友人と会社を設立。36歳で役員を退く。2018年、株式会社ディバインを設立。2020年から農業に携わるほか、2023年には電気工事業を新たに始める。