生き方が多様化するなか、悩みも人それぞれ。そうした「生きること」に関わるあらゆる相談に応じるセッションを行っているのが、INSIDE主宰の石橋典子氏だ。近年見聞きするようになった「HSP」や「繊細さん」と呼ばれる人に向けたセッションのほか、女性のライフステージに関わる相談、副業や働き方などビジネスに関する相談など、幅広い相談内容に対応している。石橋氏のセッションの特徴や個人で事業を行う強み、仕事への考え方について話を聞いた。


実体験を材料に、目の前の人のためになるセッションを提供


●老若男女、あらゆる人の悩み相談に対応
現在、INSIDEの主宰として、子どもから大人まで幅広い層のセッションを受けている石橋氏。始めた当初は男性のクライアントが多く、新しい働き方や副業といったビジネス関連の相談が多かったが、近年は女性や子どもからの相談も多く受けるようになったという。
「特に得意とするのは、いわゆる『繊細さん』と呼ばれる人たちの悩み相談です。特に増えているのは、親や子が繊細さんだというケース。昔の子育てには繊細さんという切り口がありませんでしたから、親が繊細ではなくお子さんが繊細な場合、『この子は変わっているのでは?』と不安になられる親御さんも多いのです。私自身が繊細さんであり、育児を経験してきた母親でもあることから、実体験を持って相談に乗れることが強みだと自負しています」
昨年には初の著書「エネルギー・バンパイア エネルギーを吸い取り、あなたを困らせる人から身を守る方法」(現代書林)も刊行。一緒にいると疲れる人をエネルギー・バンパイアとし、人間関係の悩みを具体的につづった一冊だ。こちらも男女年齢を問わず、幅広い層から反響を呼んでいる。
●個人だからこそスピーディーな意思決定が可能
石橋氏がセッションを始めたのは、それ以前に行っていたピラティスのレッスンのユーザーからの要望がきっかけだ。「身体の悩みから話が発展し、家庭や仕事など人生相談に応じることが増えていった」と石橋氏。「今日はレッスンではなく、話だけしたい」というケースも見られ始め、カウンセリングをメニューとして設けることにしたという。
その後、新型ウイルスコロナ禍で対面レッスンが難しくなったこともあり、カウンセリング業務1本に絞ることに。スピーディーに方向転換できたのは、石橋氏がひとりで事業を行っているからだ。
「自分で決められないタイプであれば、背中を押してくれる人と組むことに意味がありますが、私は自分で決められるタイプなので、ひとりで突き進んだほうがいい。そのため、必要に応じてその道のプロに頼むスタイルを採用しています」
セッションを本格的に開始するにあたり、心理に関する勉強も行った石橋氏。しかし、「心に特化するのは私の提供したいセッションではない」と結論。心理カウンセラーとは異なる、広い視野から見たアプローチを強みとしている。ピラティスインストラクターの経験から、食生活など身体面から話をすることもあるという。




●質の良いセッションのためには、自身のコンディション維持が不可欠
相談に対して結論から入ること。その人にとって、本当に必要な内容に絞って伝えること。これらは石橋氏がセッションで重視しているポイントだ。
「長々と話をされても、頭に入らなければ意味がありません。あとから理解ができなかった点が出てきた場合は、電話やLINEでお聞きいただければ再度お伝えしています。その場では要点を絞るようにしているため、お客様からは『思ったよりも早くセッションが終わった』と言われることもあります」
クライアントに良いセッションを提供するためには、自身のコンディションを良好に保つことが必要だ。個人で行っているからこそ、クライアント数のコントロールも可能。自分のキャパシティを超えないよう、増えすぎない程度にバランスを取っているという。
「私のセッションの土台にあるのは、私自身の実体験です。セッションのためにもプライベートを大切にする必要があるので、仕事を入れすぎて時間がなくなるのは避けたい。ちなみに、今は子離れを実体験中。子どもが家を出ることで自分がどのような心境になるのか、それをどう乗り越えていくのかという経験は、今後子育て中の方の相談に乗るときに大きな参考材料となってくれるでしょう」
ここには書ききれないほど、人生で稀有な体験を重ねてきた石橋氏。ハードな内容も多いが、そのすべてが「目の前に降ってきてしまった」ものだという。その場ではつらい思いもするが、「その体験を経て得られた人間関係がたくさんある」と石橋氏は語る。
「特に試練だとも思わないですね。特別強い人間でもないので、直面したときには泣くこともありますが、『しょうがないな、やってやるか』という気持ちで立ち向かうようにしています。ここまでくると、楽しんでいる部分もあるのかな(笑)。今では、何か大変なことがあっても、笑い話に昇華できればいいと思えています」
昨年のチャレンジは「著書を出すこと」だったという石橋氏。今年は、子どもの独立を機に新たなテーマにシフトしていっているという。
「自分の引っ越しも控え、今はワクワク感でいっぱい。仕事では得意な分野でセミナーをやってみたいというのが今の気持ちですね。仕事もプライベートも楽しく過ごしていきたいです」と笑顔で締めくくってくれた。