新型コロナウイルスの感染拡大の影響でEコマースの需要が増加し、収入の減少やテレワークの拡大もあって、独立開業や副業への関心が高まっている。GoodWaveは、副業や脱サラを希望している会社員らをターゲットにEコマースでの流通・販売のコンサルティングを行っている。稲見春樹代表は37歳で仕事を辞めて、人生をあきらめかけた時に物販に出会って、「人生が劇的に変わった。その経験を多くの人に伝えて、恩返しをしたい」という。稲見代表に“逆転人生”を語ってもらった。


物販で逆転人生「感謝」の心で世界へ


●ニートから月収100万円に
学生時代から比較的おとなしかったという稲見代表は、大学を出てIT企業に就職したが、知人から誘われて副業を始め、さまざまな商材を扱っていった。転機となったのは37歳の時、当時勤務していた小規模な会社で、熱量が高い経営者から課せられる要求の高さについて行けず、退社して実家に戻った。「ニートみたいな生活でメンタルはどん底。これからの人生は“消化試合”だなって思いました。せめて今を楽しもうと、セブ島に留学することにした」と振り返る。
留学まで数カ月の猶予があったので、その間投資などに手を出したがなかなかうまくいかず、YouTubeでネット物販の副業を勧める動画を見て、少し試してみると1カ月ほどで成果が上がり始め、そこで留学することになった。「“人生最後の楽しみ”ぐらいの気持ちでいったのですが、そこで一皮むけた気がします。少し人見知りだったのに、留学の最後にはみんなの前でスピーチしたり……。帰国したらその間も物販で稼げていたので、『これはいける』と思った」。手応えを感じた稲見代表は物販に真剣に取り組むようになる。
●「永続的に稼げるノウハウ」を確立
一人でやることに限界を感じた稲見代表は「物販塾」のセミナーに参加。「何でも普通で何でも手伝うんで本当、ぜひ教えて欲しい」と、一回り年下の塾長に頭を下げたという。塾長の勧めで事務所で他の塾生の手伝いなどをするようになると、「サポートしてあげた人たちから感謝されて、それを見ていた塾長や講師陣も感謝を寄せてくれました」。物販もうまく行き始め、5カ月がたつと月収100万円を上げられるようになった。「自分は、ポンコツの男だと思っていて、一生100万円稼げるなんて1ミリも思ってなかったけど、本当に人生が劇的に変わった体験をした」と目を輝かせる。
さらに「『これ誰でもできる』って感じて、僕みたいに人生あきらめている人も結構いて、僕はきっかけもらったので、何か恩返しをしたい」と思い、周囲の応援もあって、物販塾を開くことを決意、2018年に起業をした。苦労しながらも少しずつ塾生を増やしていき、仲間の協力もあり、「永続的に稼げる物販のノウハウ」を確立したとき、コロナ禍がやってきた。
「外出をしなくなり、買い物もネットで買うようになっていって、在宅ワークで時間が余るとか、将来が不安とか、中には会社が潰れちゃったという人からたくさん問い合わせがきた」と語る。稲見代表は「副業には、時給のものと、完全成果報酬のものの2種類がある。使える時間には限界があるので、時給制よりも成果報酬型の方が徐々に売り上げが上がっていくので、最初は無報酬でも短い時間でも本業を抜く瞬間が来るようになる」といい、「投資などと違って、物を売るので、悪くても市場の最低価格で売ればいいので、リスクも少ない」と、物販が副業の中でも手堅いと説く。




●リアルな塾でつながりを構築
稲見代表は、副業の成功は本業にも好影響を与えると強調する。「副業の収入があれば、心に余裕ができて、本業でストレスがあっても、あまり感じなくなる。上司に怒られてもなんか許せる、という寛容さが出てくる」と笑顔で語る。「脱サラしてもいいけど、家族とか守るものがある人は、いきなりそんな無謀なことはせず、まずは1日3時間ぐらいで、コツコツ積み上げていけばいい」という。
稲見代表がこだわるのは、リアルな塾運営だ。東京と大阪の事務所では週1回の対面での教室を開き、ほかの時間は塾生にスペースを開放している。「人と人とが触れ合って、コミュニケーションを取ることで人と人とのつながりを構築していきたい」という。事務所には宿泊も可能で、九州など遠方から泊まり込みで学びにきている塾生もいる。「コロナで減りましたが、僕もそうでしたが、そこまで本気でやっていると成長が早いし、塾も盛り上がる」と語る。
リアルにこだわる稲見代表だけに、今後の目標はリアルでの全国展開だ。「稼げることには自信があるので、リアルで教えられる場所を増やして、日本一満足度の高い物販塾にしたい」と語る。海外支部も構想している。「海外に支部があるっていえば、塾生も盛り上がる。為替の関係が輸出入にも影響するので、英語圏で展開できれば、日本にも還元できると思う」と前を向く。「一番大事にするべきは人。関わる人に価値を提供することを重視し、与えること、協力すること。『GIVE&GIVE』が教育理念です」と、どん底からはい上がった稲見代表の夢は波のように広がっていく。