[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

赤帽と物流業界の発展に期待

株式会社全国赤帽
代表取締役
智徳
HORI_TOMONORI

私たちの日々の生活を陰ながら支えている物流。しかし、高齢化が進んだことや、若者から敬遠されているがゆえに、ドライバー不足が深刻化している。そんな問題を抱える物流業界の中で注目されているのが「赤帽」だ。赤を基調とした車両を誰しも一度は見たことがあるだろう。その「赤帽」の営業部門としての役割を担うのが株式会社全国赤帽だ。堀智徳代表取締役に組織の特徴、同氏が就任するに至った経緯、同社の優位性、今後の展望について聞いた。

荷主のためになりたいという思いから発足

「赤帽」が貨物軽自動車運送業を行っていることは広く知れ渡っているが、組織全体を把握するには説明が必要かもしれない。農家が農協、漁師が漁協に属するのと同様に、個人事業主である赤帽ドライバーは、全国各都道府県にある44の赤帽協同組合に所属をしている。その赤帽協同組合を束ねているのが、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会であり、株式会社全国赤帽の母体でもある。組織の中での全国赤帽の役割は営業活動だ。法人、個人から新規案件を受注し、主に配送のコーディネートを行っている。貨物軽自動車運送業という機動力、全国に広がるネットワーク、相互扶助のマインド、個人事業主としての仕事への責任感を集約したのが「赤帽」であり、魅力でもある。

「赤帽は1975年、初代会長である松石俊男によって発足されました。利益率の悪さや非効率性を理由に、既存の運送業者から避けられていた嵩物や緊急配送を依頼する荷主の助けになりたいという思いが発足理由です。その精神は今にも引き継がれ、貨物に込められた思いを運ぶという気持ちで日々の業務にあたっています」と堀氏は話す。

人生設計の明確化が、個人と会社の双方の成長になる

堀氏は2002年に連合会営業本部に営業として入職して以来、赤帽一筋。2022年の代表取締役就任には、喜び以上にプレッシャーを感じていたという。就任にあたっては、すべての社員に「会社の数字に携わる以上、業務にかかわらず誰もが営業であるという意識を求めた」といい、「会社が最新のツールを導入しても、使う社員の意識が変わらなければ、無駄になることもあるでしょう」というのが理由だ。

また、社員の人生設計のビジョンを明確にするために、個別面談も行った。「長く働いてほしい気持ちはありますが、人生は人それぞれです。当社で成長したい、独立して起業をしたいでも構いません。仕事を通じてどのような自分になりたいかを聞き、逆算してそのために何が必要なのかを考えてもらいます。社員の成長を促すために環境を整えることは大切ですが、会社がそれを提供できなかった場合、成長できない理由を会社のせいにする癖がついてしまいます。しかし、今の環境下でどのように結果を残すのかを問うと、自然と成長してくれるのです。自分の成長のために業務に励むことで、当社に貢献してもらえればと思っていますね」と語った。

2024年問題は逆にチャンス。つかめ、赤帽ドリーム!

物流業界が現在直面しているのが、2024年問題だ。2024年の法施行によって、正社員や契約社員であるドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に設けられる。それによって、事業者の売り上げ減少、ドライバーの収入減少、ドライバー不足など多数の問題が発生すると考えられている。

しかし、堀氏は「この問題でチャンスを得られるのが赤帽です。個人事業主にも改善基準告示が適用するとは言え、働き方は己の裁量で決まります。それに参入しやすい、臨機応変に働けるという性質から、ドライバー不足の解消にも一役買えるかもしれません」と前向きだ。実際に、親の介護のために会社を辞め、赤帽事業を進めながら親の介護を行う元会社員も珍しくない。法令順守、車両・体調の管理、責任を持つといったことは前提だが、会社員よりも働き方に融通を利かせやすいのが、赤帽ドライバーのメリットだ。

「頑張って働いた分だけ報われるので、夢をつかめる可能性もあります」と話す通り、得た収入で会社を設立したり、飲食店を開いたりといったケースも多いという。「これを機に、赤帽ドライバーの活躍にますますの注目が集まると信じています」と期待を寄せる。

現在、堀氏が切に願っているのが、より多くの人に「赤帽」とその魅力を知ってもらうことだ。「ドライバーは皆、個人事業主ではありますが、所属している組合の中での情報共有は活発で、助け合いの精神があることから、とても働きやすいはずです。それに配送先で直接お礼を言っていただけるのは、けっこううれしいものですよ」と笑みを浮かべる。

また、ドライバー職だけでなく、全国赤帽の営業職にも魅力があるという。「赤帽」が扱える貨物の種類にはほとんど制限がなく、信書から精密機械や医薬品まで、さまざまなものを運ぶことが可能だ。貨物が変われば、関わる法令や取り扱い方も変わり、日々新しい気持ちで学ぶことができる。そういった環境は業務に飽きることなく、成長を続けたい人には最適だろう。

「一緒に働く仲間を増やし、当社を100年続く企業にしていくことが目標です」と力を込める。「物流は世の中にとって欠かせないインフラです。当社だけでなく、物流業界全体にも興味を持ってもらい、他社と共に業界の発展に寄与したいですね」と堀氏の視座は高い。

堀智徳

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株式会社全国赤帽
代表取締役堀智徳
1972年生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、路線特積貨物運送会社に入社。2002年に全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会営業本部に営業担当として入職。その後、同連合会グループ赤帽物流株式会社へ転籍。2013年に2月に現株式会社全国赤帽と赤帽物流株式会社の合併に伴い、株式会社全国赤帽へ転籍し、営業部営業課長兼部長代理に就任。同年8月営業統括部部長就任を経て、2014年に取締役営業統括部部長就任。2022年10月に現職である代表取締役に就任。