[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

公的制度活用ソリューションで中小企業の成長を目指す

合同会社G&N
代表社員
広川元基
HIROKAWA_GENKI

DX化、コロナ禍によるニューノーマル社会の進行、カーボンニュートラルやSDGs(持続可能な開発目標)の推進など、ビジネス環境が目まぐるしく変わる中、国の補助金などさまざま公的制度が用意されているが、申請事務の難しさなどで十分に活用されないものも多い。G&Nの広川元基代表は、成長を目指す中小企業向けに制度活用のソリューションを提供し、「日本経済にインパクトを与えたい」と語る。

税理士よりも企業支援を

広川代表が中小企業の経営支援に興味を持ったのは高校生の時だった。全国大会に出場する強豪校でサッカーに打ち込んでいたが、3年生の夏に大怪我でサッカーをあきらめ、サッカー部の先輩が公認会計士を目指していると聞いたことがきっかけだ。

「周囲には商売をしている人が多く、父も独立して焼き肉店を開いたが、すぐに店を畳むことになってしまい、中学、高校時代は本当に苦労しました。先輩が『中小企業は財務会計に弱い。そこをよくするだけで会社が成長できるし、経営不振のときに存続できるかもしれない』と言っていて、中小の業者の経営を支援する仕事がしたいと思いました」と税理士資格が取得できる大学を選び、AO入試で入学、税理士を目指した。

だが、大学時代に税理士事務所でインターンをしたとき、「税理士は領収書を処理するなどの仕事が多く、経営者からもあまり感謝されていない。自分のやりたいことと少し違っているな」と感じた。広川代表は税理士をあきらめ、中小企業の資金調達を支援する企業に入社する。

そこで、補助金や助成金を活用して、資金調達を支援する事業を立ち上げるタイミングで、その担当になった。2年目からは、新入社員を教育しながら、営業まで全般を担当するようになり、4年間で総額10億円以上の調達、100社を超える事業計画の立案、作成による財務改善の実績を残した広川代表だが、次第に疑問を持つようになったという。

「補助金の趣旨に合っていない企業もあって、つじつまを合わせをすることもあり、ビジネスモデルがやりたいことと違っていた。真に成長を目指す企業に、補助金や助成金を使った方が経済にインパクトを与えて、制度の効果も出ると思った」と独立を決意した。

平均90%の採択率を実現

業務は、クライアントの事業計画をヒアリングして、ブラッシュアップし、制度の検討と提案を行い、事業計画書の作成を支援。補助金を申請する際には、認定制度や経営診断などの準備から実際の申請までサポートを行う。採択後も、補助金が円滑に受給するための業務や実際に事業を行う時の見積もりや発注書、請求書、明細などの管理、最終的な報告書作成などのきめ細やかなフォローアップを行うなど、1社につき6〜7年は伴走して支援を続けている。

「補助金は採択後、見積書や帳票を揃えるなどの事務が大変。何か使ったお金に対して全て帳票類をそろえないといけないし、行政とのやり取りが頻繁に発生する。採択を辞退する人もいるので、受給までお客様にいかに負担をかけないかを重視して、すべて内製化しているのも特徴です」と胸を張る。

広川代表は事業のKPIとして、採択率を重視。「確実に採択されて補助金がもらえるとなれば、事業を計画に盛り込んで、人員を確保したり、設備を整えたり、成長戦略が描ける。そのためにも、私たちが実績を積んで、採択率を上げるためのノウハウをためて、潤滑油の役割を果たして、クライアントに手間をかけないことで、企業の成長の足を止めないようにできる」といい、採択率は平均90%という高率を維持。順調に業績を拡大し、年間10億円以上の実績を残し、これまで500社を支援してきた。支援先は「一般的な中小企業ですが、根幹とする事業で成長していて、次の展開を目指している企業に絞っています」とこれまでの歩みを振り返る。

“補助金ソリューション部隊”を作る

「法人向けの補助金制度は1万種類以上あり、対象になる制度を探すだけでも大変で、自ら申請をしないといけない。さらに、明確な採択基準がないものがほとんど」と広川代表は指摘する。

そこで、多くの中小企業をサポートするため、広川代表は組織の拡大を目指し、現在18人の社員を3年後に50人に増やし、一人一人が結果を残せる人材に育て、“補助金ソリューション部隊”を作るため、5年間のノウハウを生かした独自の研修制度を設けようとしている。

「サポートには、経営の根幹をしっかりとヒアリングして、計画にまとめるロジカルシンキングとアウトプットする能力。その後の帳票とりまとめなどの管理能力、労務や税務の基礎知識、コミュニケーション能力も必要で、ベンチャーなどさまざまな業界の知識、最前線のビジネス情報なども得られる。ビジネスマンとしてのスキルや思考力を伸ばせるので、若い人にトライしてほしい」と期待を寄せ、スクール事業の展開も構想している。

さらに、これまでの実績をデータベース化し、業種、業態ごとの計画書の作成方法をなどDX化したソリューションの開発を計画。さらに、自己資金が必要な補助金も多く、そのための資金調達のため、補助金獲得を前提にしたファクタリングやファイナンスなどの独自の資金調達ソリューションや、社会課題となっているサーチファンドのような事業承継に特化した資金調達を支援するM&Aソリューションの確立を目指している。

広川代表は「結婚相談所は、マッチングをさせて、成立後も式や新生活、出産などのその後のサポートをするノウハウをフランチャイズ化している。同じような仕組みを作り、自らが蓄積したノウハウをスケールしたい」と語り、「成長を目指す企業へ次のステージを用意していきたい」と先を見据えている。

広川元基

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合同会社G&N
代表社員広川元基
1991年、埼玉県出身。武蔵野大学に税理士を目指して入学するも、2014年、より直接的な経営支援を行うべく資金調達支援会社へ入社。補助金を活用した新事業の立ち上げ時の資金調達支援を行い、総額10億円以上の調達、100社を超える事業計画の立案、作成による財務改善の実績を残し、2018年、合同会社G&Nを設立。