企業の利益向上のため、最前線に立つ営業職。利益は企業成長の根幹であるため、営業スキームや盤石な組織構築は企業の鍵となっている。一方、最前線の布陣に課題を抱えている企業も少なくない。そのような状況で、営業代行事業、営業組織コンサルティングを通じて企業の支援を行うのが株式会社SalesDexだ。トップセールスの地位を収めた経験者でもある代表取締役CEOの藤井翔太氏に、営業の理想と未来について伺った。

営業最前線の味方、独自のモデルで企業に貢献

●2つの柱、包括的な営業支援事業
同社のコア事業は2つ。営業代行事業と営業組織コンサルティング事業だ。営業代行事業については、3つの観点からアプローチを行っている。1点目はインサイドセールス。見込み顧客の開拓を主とし、一部はWebツールやSNSを用いることで新たな出会いを創出していく。2点目はフィールドセールス。一般的な営業同様、商品の紹介をし、契約書の提出から受注までを実行する。最後はカスタマーサクセス。顧客と企業のつながりは契約してからがスタートとなるため、アフターフォローまでを一気通貫して担っている。
「この3点を全て担っているのは、お客さまのお客さまという想いがあるから。実際のところ、見込み顧客獲得からアフターフォローまでを事業として行うことはコストの負担も大きいのです。しかし、それでも私は理念のために実行していきたい。何より、お客さまのお客さまが不幸にならないようにするためです」と藤井氏は明かす。
また、営業組織や仕組みづくりに課題を持つ企業が多く、相談を請け負うこともあったという。そのような企業の課題解決に貢献するため、同社では営業組織コンサルティング事業も行っている。事業内容について藤井氏は、「すでに問題点やお困りごとを抱えている場合は、問題の根本を探りながら解決に導けるようアドバイスを行っています。さらに、完全にゼロから構築したいというケースもあります。具体的には、営業人材もおらず、営業スキーム、販売促進のメソッドなどが確立されていないことも。このような場合は、営業事業計画の策定から目標達成までのプロセスなど、全ての構築指導をしています」と語る。
●理想は分断ではなく、グラデーション
トップセールス経験者、そして、同社の代表取締役CEOとして、藤井氏が提唱するのが”Zero-Layer Sales(ゼロレイヤー・セールス)”だ。これは、営業における余計な層をなくすことを目的としている。この考えにおいては、”横の層”と”縦の層”で捉えることが重要だという。
まず、横の層について藤井氏は「インサイドセールス、フィールドセールス、そして、カスタマーサクセスのそれぞれで担当者が分かれていることは、顧客にとってメリットがあるとは思えません。一貫して同じ営業が担当している方が望ましい。何故なら、分業が分断につながっているケースも多く、コミュニケーションや引継ぎがうまくいかないケースもあるためです。例えば、インサイドセールスはアポイントを取った後の受注の成否が分からない。カスタマーサクセスはどのような経緯で契約したかを把握できないなどです」と話す。この分業=分断を避けるためには、グラデーションのように、スムーズな連携が欠かせない。
さらに、縦の層については「縦の層とは、言い換えると社内におけるヒエラルキー。お客さまに何かを提案する際、主任や課長、部長などの承認を得なければいけないケースも往々にしてあるでしょう。一方、お客さま側は今こそ必要というケースや、あるいは営業側は今こそすべきと提案することも考えられます。つまり、社内の承認プロセスの長さが機会損失を生んでいるケースも多いのです」と説明。さらに、「縦の層の無駄を省くために、私は一定の権限委譲を推奨しています。実際、一人の営業に対して裁量権を渡すだけでも、結果によい影響を及ぼすことも。具体的には、スピーディーな営業と判断を行えることで、お客さまが競合検討するリスクを減らすことができる。さらには契約も成立しうる」という。
縦横の無駄な層を省いた上で、グラデーションに整えていく。最終的には一人に対し、専門性をもった数人のサポートをつけ、一気通貫の対応をしていくことが理想だと藤井氏は語る。
●成果を出せば報われる、営業で自己実現を
営業という仕事に対し、冷静に思考し、情熱を燃やしてきた藤井氏が抱える将来の展望とは。「何より営業で自己実現する人を増やしたい。これこそずっと目指し、将来叶えたい目標です。マズローがかつて提唱した人間の欲求5段階説によると、自己実現、つまり自分がなりたい姿になれることが幸せにつながるといいます。私も営業を通じて自己実現できたと感じますし、家族や、生まれ育った故郷、卒業した高校にも感謝をしています。だからこそ、現在営業という仕事で困難を抱えている人に伝えていきたい。それは、挫折しそうな時もある一方、続けていくことで自分のなりたい姿になれるということです」と力を込める。
過去を紐解くと、藤井氏はヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)にて営業職に転身。成果を出せば報われる環境にやりがいを感じたという。「学歴、見た目、男女や年齢も成果を出す上では関係ない。お客さまに喜んでいただければ評価される世界を初めて知ったのです。そのような世界で仕事をしてきたからこそ、営業のみならず、成果を出せば報われる会社にしていきたい」と語る。
人には好き嫌い、得意不得意がある。藤井氏にとっての営業とは実のところ、できるからこそ続けてきた仕事という想いがある。「好き嫌いでいえば、実は特段好きといえるものはまだ他にもあります。とはいえ、私は営業を通してチャンスを与えられ、つかむことができたからこそ、感謝をしたい。そういった点で、営業という仕事を好意的に捉えています。何より私が好きなのは人。新たなご縁と共に、お話もさせてもらえる。その意味で、営業は私に非常に合っている仕事なのです」と藤井氏。そう語る微笑みには、自信と誇り、そして未来に対する前向きさが感じられた。
