[●REC]

ヒトが繋ぐ、時代を紡ぐ

個性を引き出し、違いを強みに。クリエイティブで価値を伝える

オアード株式会社
代表取締役
遠藤
ENDO_AYUMU

SNSマーケティングを含めたネットマーケティングが威力を発する時代になった。関連する情報がちまたに溢れ、支援をうたう企業やコンサルタントも多数存在する。その一方で、成功例は一握りといわれている。このギャップはどこから生まれているのだろう。インスタグラムの運用支援を主軸に、Webなどを通じた情報発信を支援するオアード株式会社の代表取締役遠藤歩氏は、自身のインスタグラムアカウントに4万のフォロワーがいる。1万フォロワーでも到達が難しい中、「数ではなく、人」という遠藤氏に話を聞いた。

個性から生まれる価値を表現するクリエイティブ集団

SNSで「フォロワーを増やしたい」、「モノを売りたい」と考えるビジネスパーソンは少なくない。ニーズに応じたフォロワー増加や販促のノウハウも多数出回っている。にもかかわらず、実践して成功する人が少ないのはなぜだろう?それは「本音と違うことをやっているから」と遠藤氏は言う。ノウハウ通りに始めてみても「何か違う」と感じてしまったり、SNS上の自分が好きになれなかったりする。だから続けられないのだと。

「建前で生きることに慣れてしまって、自分の本音がわからなくなっている人が多いんですよね。それでは、無意識のブロックや建前と本音のズレが邪魔をしてうまくいきません」オアードでは、時間と場所を共にすることで、まずは相手を知り、本音や個性を把握する。十分な信頼関係を築いてから、「本当はこれをやりたいのでは?」を伝え、伴走しながら個性を強みに変えていく。

「多彩な専門性を持つ15名ほどのエキスパートがチームを作り、コーチングに近いこともやりながら、その人の個性から生まれる価値を表現していく、クリエイティブ集団です。今はインスタグラムが熱いので、インスタグラムでの情報発信をサポートすることが多いですね」

活動の土台は、学生時代の恩師からの学び

横浜で生まれた遠藤氏は、中学時代に引っ越しで転校。イジメを受けたり、原因不明の難病に侵されたりして、学校に通えない日も多かった。19歳のとき、高校時代からアルバイトを続けていたマクドナルドで「恩師」に出会い、マーケティングやマネジメントを学ぶ。それが、現在の活動の土台になっているという。

「マクドナルドの世界では有名な方でした。厳しい方でしたが、常識を壊してくれる内容で、確実に能力が上がっていく実感がありました」と遠藤氏は笑う。恩師の指導の下、20店舗以上のトレーニングなどを経て、マクドナルドの公式大会に出場し、全国大会の決勝に進出。2位の成績を収める。

その後、バーテンダーの大会で世界一になった方に声を掛けられ、大学を中退して、横浜のバーに勤務。結婚を機に、アサヒビールに入社する。営業職として、ウィスキーの売り上げを前年比1000%増させ、社長賞を授与される。

「基本的な考え方として、全員が左を向いたときに、僕は左を向きません。なるべく視野を広く取って、自分で判断するようにしていました。会社初のイベントなど、他の人がやらないことができたから、結果が出せたのだと思います」

心を動かすものを生み出すために、感情のブロックを外す

アサヒビールに勤めながら、副業をやりたいと思い、プログラミングやアフィリエイトに挑戦。しかし、うまく続けられずに心が折れてしまう。そこで、「自分は何が好きなのだろう」と考え、資料などをデザインするのが好きだと気付く。デザインスクールでスキルを身に付け、副業を開始。数年後に独立して、フリーランスのデザイナーとして活動した後、2020年にオアード株式会社を設立した。設立当時の遠藤氏は心理学の本をよく読んだりはしていたが、基本的にロジカルシンキングで、感情があまり出てこなかったという。

「クリエイティブを本業にしようとしたとき、心を動かすものを生み出すためには、伝えたい、届けたい人の感情を想像する力が必須。自分の感情が動かなければ、他人の感情の動きも想像できないと気付きました」

いろいろな人に相談したり、高名なカウンセラーのセッションを受けたりして、感情にふたをしているブロックを外していった。

「自分を認め、許可を出す。最初に必要なのは自分が幸せであること。そこが体感できれば、どんな体験もどんなに苦しいものも価値に変えることができます。僕自身が体得したことを、クライアントにも伝えています」

オアードでは、ブランディング設計から、マーケティング、SNS運用サポート、映像制作、デザインまで、幅広くクリエイティブの力を活用する。クライアントは、ビジネスパーソンに限らず、芸能人やインフルエンサーにも広がっている。トータルなプロデュースを行う。

「人を数として見るのは、僕のテーマに反します。数よりも人」と遠藤氏は力を込める。そのテーマ故に、SNS運用の業界内でも他とは違うと評価される。「『違う』と言われるのは、世間はそれができていないということです。だから、ここを伝えていくことに意義があると思って、インスタグラムを通じて発信しているのです」

日本社会では個性が尊重されず、抑圧されていると遠藤氏は感じている。また、マーケティングに偏重していて、クリエイティブをおろそかにしているのが現状だという。そこを変え、クリエイティブに力を入れることがイノベーションにつながると考えて事業を進めている。「AIチャットの登場で、機能的価値よりも、情緒的価値が重要になっていくと思います。違いを強みに変え、枠に捉われない表現を大切にしていきたいですね」と取材を結んだ。

遠藤 歩

RECORD

オアード株式会社
代表取締役遠藤 歩
神奈川県立綾瀬高校卒業。バーテンダー学校卒業後、横浜でバーテンダーを3年経験。アサヒビールに入社し、5年勤務。フリーランスデザイナーとして活動した後、2020年にオアード株式会社を設立。現在はインスタグラムのマーケティングおよびブランディングサポートの事業をメインに活動。