ウェルビーイングとは…心身が健康で社会的にも満たされた状態。「幸福」とも訳せるが、ハピネスとは異なり、持続的な幸せを意味する。
eコマースに〝おすそわけ〟を織り込みウェルビーイングを実現する「ツクツク!!!」
●「インターネット」と「人のつながり」の融合
「それは大阪の友人からの、1本の電話がきっかけでした」。TSUKUTSUKU株式会社代表取締役社長の阿比留章雄氏は、1997年にeコマースの代理店事業に参入した経緯をそう話す。そのとき阿比留社長は、「インターネットの話ですが、興味ありますか?」と話す友人の言葉を聞きながら、かつて「人」のつながりを大切にしたビジネスで多くの学びを得たことを思い出し、「その経験を生かして『インターネット』と『人のつながり』を融合すれば、流通マージンを分け合う、面白い仕組みができる!」そう直感したという。
インターネットによって誕生したeコマースは、中間マージンが削減できるため商品価格が抑えられるだけでなく、好きな時間に購入して玄関先まで届けてもらえ、ポイントまで付く。そうした多くのメリットを持つeコマースの可能性は非常に大きく、「その中で、人と人はもちろん、人と出店者や企業、商品、サービスがどんどんつながり、その恩恵を多くの人たちと分け合える仕組みのイメージが浮かんできました」と振り返る。
こうしてeコマースの代理店事業に参画した阿比留社長は、インターネットがまだ普及途上という時代にもかかわらず、着実に市場を獲得。2007年には現在の会社の前身となるクムクム株式会社を設立した。ここで、当初のビジョンである「インターネット」と「人のつながり」の融合により、人を軸としたeコマースの実現を目指して代理店網の構築に注力。「時間はかかりましたが、私たちの想いと仕組みに共感をいただき、1万社以上の事業者様に集まっていただきました」と、その成果を紹介する。
●「真のシェアリングエコノミー」を
代理店網の構築という会社の基礎を固めた阿比留社長は、2022年にマーケットプレイスと出店システムの開発・運営の主軸をTSUKUTSUKU株式会社に切り替え、万全を期す。利用者にとっても出店者にとってもウェルビーイングを実現し、持続可能となるビジネスモデルとして、クムクム時代から始動していた、おすそわけマーケットプレイス「ツクツク!!!」を本格始動したのである。
このビジネスモデルの核には、利用者と出店者、さらに出店者同士などが相互にメリットを享受できる「真のシェアリングエコノミー」の概念が根付いており、阿比留社長は「〝おすそわけ〟という仕組みはそのひとつであり、私たちが創り出す経済サイクルの中で、相互に分け合い、与え合うシステムが成り立っているのです」と解説する。つまり、単に出店者が商品やサービスを販売し、利用者がそれを購入するだけでなく、出店者にも利用者にも恩恵を還元し、共にシェアし合うマーケットプレイスとなっているのである。
驚きは、一見経済だけをシェアしているようで、感情までをも共有できていることだ。「楽しい、おいしい、うれしいといったポジティブな感情を、〝おすそわけ〟によって共に体験し感じることができるのです。AIの時代になる未来、私たちはこうしたEI(感情的知性)は、どんなに時代が進んでも変わるものではない人間の重要な根幹だと思っています」と話す。
●日本のモノづくり、コトづくりを盛り上げたい
また、「ツクツク!!!」は、「毎日まるごとハッピーに!」をスローガンに、ひとつのプラットフォームでモノ(物販)、コト(体験)、ゴチソウ(グルメ)、オメカシ(美容)、チョクバイ(ファーム)を提供することにより、日々の生活をより充実させる総合マーケットプレイスとなっている。例えばコト(体験)のマーケットプレイスである「ツクツク!!!ウェブチケット」では、イベント・レッスン・レジャーをはじめ、多種多様なジャンルのサービスを購入することができる。このため、日頃の感謝を込めてフェイシャルエステのチケットを夫から妻へプレゼントするといった、人と人のつながりを大切にして暮らしに潤いをもたらす使い方ができるのである。
だが、出店者や利用者が互いに恩恵をシェアし合い、またそこに楽しさや喜びを詰め込んだマーケットプレイスの仕組みを創り出すのは、非常に多くの時間と多大な労力を要する方法といえる。しかし、阿比留社長は「自分は急がば回れという発想がとても好きで、人を軸としたマーケットプレイスを創るには、たとえ時間がかかっても利用者の声を聞き、思案する時間が、結果として目指すところに最も近づける方法だと思っています」と話す。
そして、将来的に人の仕事の多くがAIに代替されるといわれる中、「どんなに技術革新が進んだとしても、人間が本来持つべき〝感性〟や〝人への尊重〟〝共感力〟など、人を慮る姿勢はいつの時代も大切にしなければなりません。そうした人間的な面を吹き込みたいと考え、日本が世界に誇れる〝おすそわけ〟の精神を核にして実現したのがこのサービスなのです」と思いを込める。
今後は、同じ思いを共有し、同じ目標に向かって共に走っていくパートナー加盟店を増やしていきたいという阿比留社長。「それは、商品やサービスに込められた人の思いや温かみまでをもシェアし、日本が誇るモノづくり、コトづくりを盛り上げたいという想いに共感してくれるパートナーです」という。そのパートナーと共に目指すのは、50万出店者獲得と国内最大市場を実現して、皆に幸せを〝おすそわけ〟していく未来だ。
社会貢献について阿比留社長は、新しいものを生み出し、それが世の中に受け入れられるものでなければ意味がないと話す。そして、「いかに私たちでしかできないものを、皆さんに届けていくことができるか。誰もが夢を持てるような仕組みを創っていけるか。それができればきっと社会貢献になるのではないかと思っています」と述べ、そのためにも本業である「ツクツク!!!」を通し、持続可能な幸せを多くの人に享受してもらえる存在であり続けたいと語る。