内資、外資企業でさまざまなプロジェクトに携わり、実績を残してきた馬越聖剛氏。海外でのビジネス経験も豊富で、のちには経営コンサルタントとして独立もした。そんな彼が、2023年新たに株式会社GN Business Consultingを設立し、FREE CASH MAKER事業と経営コンサルティング事業を軸として再度の飛躍を試みている。自身のバリューを存分に生かしたい、チャレンジのある環境に身を置きたいとの思いが今につながったという馬越氏は、何を重視し、何のために、どのように活動を進めているのか。その心情と実働について話を伺った。
多角的視野を持って、的確かつ明確な数字を導き出す
●現状を観察し、軽やかに在り方を変化させる
GN Business Consultingは、顧客企業の進化向上を考え、基本的に「ギア1」「ギア2」と段階を踏んだサービスを提供している。それがFREE CASH MAKER事業と経営コンサルティング事業だが、これらは個別に動くことも、同期して動くこともあるという。前者では、間接材(光熱費等)のコストダウンを徹底。その後「ギア2」の経営コンサルティング(BPR/DX/新規事業/マーケティング等)に進み、業務の効率化などを行って根本的な企業価値向上を図っている。
この「ギア1」「ギア2」の双方を展開している企業は、実は少ない。同社も、設立前には「ギア2」で勝負をかける予定だったという。しかし、目の前のキャッシュに困難を抱えている企業が多数存在することに気付き、「そこが改革の第一歩だ」と考えた。そこで、現役員でコスト領域のスペシャリストの宮内氏を招集し、完全成果報酬型のFREE CASH MAKERにより、初期投資ゼロから企業価値向上に着手できるスタイルを共同構築したのだ。
具体的なサービス提供前には、独自の企業診断プログラムを実施する。これは、顧客企業が何を目指しているのかを客観的に見定める機会として機能している。経営者の志をはじめ、実際の財務状況などを把握し、「何を提供するのが適切か」「クリアすべき課題の優先順位はどうか」といった部分を細かく分析して、その結果を顧客企業に報告する。その際は、数字というしっかりした判断基準も添えるという。
●揺るぎない「数字」を主眼として
GN Business Consultingの顧客は、各種業界のナンバーワンや100年企業、努力を重ねコロナ禍を乗り越えてきた企業が多い。これはつまり、事業の継続を念頭に置き、なおかつ自社の「やるべきこと」を明確化して事業経営に取り組んできた企業であることを意味する。
「言葉を変えれば、事業に対して本気度が高い顧客とも言えるでしょう。現在置かれた自社の立ち位置に対する危機感も持っており、常に満足することなく進化し続け、生き残っていこうとの気概があると感じます」と馬越氏は話す。
そんな顧客に、同社は少数精鋭のメンバーで向き合っている。「成果・ゴールの見える化」「実施アプローチの明確さ」を大切にし、それを数字で明らかにしているのだ。「設立間もない弊社は、顧客からの信頼と知名度が不足していると自覚しています。だからこそ、数字にこだわる。なぜなら、数字は決して裏切りませんから。その数字にこだわる姿勢を私たちの存在価値にしたいのです。このような考えに至ったのは、私自身の海外経験により、世界では数字がビジネスの共通言語になっているという事実を知ったから。ロジックと数字が定まっていれば、ビジネスは進んでいくことを体感したのです」
●自己の引き出しから生まれる多様な視点を武器に
企業に変革を与えるには、「積極的精神を持つ覚悟」も必要だというのが馬越氏の意見だ。「例えばやや高いゴール設定をして、それを『無理だ』『できない』と言うのは簡単です。しかし、自分の持つ引き出しを探って、どうすれば実現できるのか考える。引き出しの数が多ければ多いほど、さまざまなアウトプットが望めます。積極的な思考を重ねることで引き出しの数は増えますし、それにより目標の実現度も変わってくる。そういった視点や精神を持てば、他社からは出てこない独創的な提案が浮かびます。それを各メンバーに求めていることこそが弊社の強みであり、今後企業からの信頼度や知名度を向上させることにもつながるでしょう」
実際彼は、「考えた末に導き出した結論の7割ほどしか正解ではない」と考えている。残りの3割に対しては「さらに良いアイデアがあるかもしれない」と常時追求しているのだ。そのため、顧客からのフィードバックも重視し、そこから何かを学びとる。それもまた、GN Business Consultingの強みの一つになっているのだろう。
現在のところ、クライアント経営層の大半から、極めて高い評価を受けているというGN Business Consultingは、今後も実践するコンサルティングを磨き続けていく。同時に、事業を構築するポートフォリオの新設も視野に入れている。プロフェッショナルなメンバーのバリューを生かしつつ、これからは事業の幅出しを狙いとして、M&Aの検証、実行が積極的に進められていく予定だ。
また、馬越氏が個人的に行っている各種団体への寄付を拡大し、自社の活動の一部として財団を設立することも考えているという。「生まれた場所や環境によって、与えられるチャンスに違いが出てしまう社会の現実を少しでも変えていく」。それを行うこともまた、事業の一部であると彼は考えている。
もちろん、直近で目指すところは自社の足腰を太くして、的確かつ効果的なサービスを提供していくことだ。しかし、同氏の視線はさらなる広がりを持っており、大きな可能性を感じさせる。だからこそ、馬越氏自身もGN Business Consultingも歩みを止めることなく、変化を恐れず、進化していくのだろう。